昭和31年から3年間、ハーバード大学に留学した時の様子をまとめたもので、昭和36年の出版の岩波新書、アマゾンで1円でした。
本の帯に、「アメリカについてはわが国でもさまざまに紹介されている。しかしその市民生活に関しての、知的に正確な洞察は意外に乏しいのではないだろうか」と書いてあります。
いつの時代でも何についてでも、知的で正確な洞察は乏しいと思います。
小宮さんが体験した日常生活から始まります。
最初に取り上げてるのが、スーパーマーケットですが、小宮さんは、日本の商業が、効率が悪いと書いてます。
日本ではスーパーマーケットもまだまだだけど、アメリカで盛んな通信販売となると、日本では流行らないのではないかという予測です。
なぜなら、日本の主婦は、アメリカの主婦とちがってパーティなどで外出することが少ないので、買い物に出ること自体が楽しみの一つだからということです。
通信販売で売っている生活雑貨は日本製が多かったそうです。
ハーバード大学の仲間とバドミントンを楽しもうと思って通販でラケットを買って行ったら、「これは日本製だから小宮が有利だ」と言われたそうです。
アメリカ人は、カネと時間の節約に非常に熱心である。
アメリカの銀行の窓口で待たされることはない。
だいたい、銀行が威張ってるのは日本くらいである。
郊外にショッピングセンターというものがある。
車で行く。
車は、「パーキング屋」に預ける。
日本では、「有料駐車場」は珍しかったんですね。
8階建てのビル全体が駐車場で、ぐるぐる8階まで登って行く。
これは当時の読者には想像もできなかったのではないでしょうか。
2、30年前、日本の学者がモンゴルで「車の渋滞」について話したら、なんのことか理解されなかったそうですが、「8階建て駐車場」もそんなものでしょう。
この本は、「隔世の感」を知的に正確に感じさせてくれますので、古い本だけど古びてません。