バイオリンの演奏を聞きに家内と二人で出かけました。
演奏するのは小学二年生のゆうちゃんで、曲は『二人の擲弾兵』です。
習い始めて二年ほどで、初めての教室の発表会です。
私は、「擲弾兵」って何をする兵隊か知らないんですけど、ゆうちゃんは知ってるのか?
この曲を弾くからには擲弾兵の気持ちになった方がいいと思うんですが。
うちで何回か練習を聞いたけど楽しい曲です。
フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」のメロディが入ってるんです。
兵隊さんが「ラ・マルセイエーズ」を歌いながらハイキングしてるような感じです。
知りませんよ、そんな感じがするだけです。
練習の時、ゆうちゃんはキーキーキューキュー、ヘンな音を出してました。
本番ではきっとこけるにちがいないと思ってました。
だって私の血を引いてるから。
私はヤマハでエレキギターを二十年近くやりましたが、発表会やライブではこけまくった。
類は友を呼ぶというようにヤマハでは私の周囲は本番に弱い人だらけだった。
楽器をやる人は指がひきつるし、ボーカル科の人は声がひきつる。
そして、楽器、ボーカル共通に、顔がひきつる。
とにかく本番になるとひきつる。
私なんか本番直前リハーサルではいつも完璧なんです。
それが本番になるとこける。
先生も困り果てて、「若草さん、練習のし過ぎじゃないですかね~。一度、本番前の一週間、練習やめてみませんか」と言われたことがあります。
で、本番前の一週間練習をやめたら結果は悲惨なもので、先生の結論は、「やはり練習不足」ということでした。
さて、本番のゆうちゃんは、最前列に陣取って声援を送る私たちに笑顔でこたえて、落ち着いた演奏、顔もひきつらず指もひきつらず、オーストリア帝国聖アウグスチノ修道会の司祭グレゴール・ヨハン・メンデルが発見した恐るべき劣性遺伝の法則の犠牲にならずに済んだということがわかって安心しました。