近所づきあいというのは、だいたい「奥さんづきあい」ですね。
この町内でも、奥さんが亡くなって旦那さんが後に残ると、突然付き合いがなくなってしまう。
「男性孤立」です。
ウチのすぐ近くのSさんも、何年か前に奥さんが亡くなって、そういう話を聞きました。
隣の方が、旦那さんが一人残って、時々娘さんがきてるようだが、娘さんなのか孫なのかもわからないと言ってました。
奥さんがいた時は、庭で洗濯を干しながらいろいろ話をしたのに、とのことでした。
私も、Sさんの奥さんは知ってました。
やさしそうな方でした。
旦那さんは知らなかった。
奥さんが亡くなってしばらくしてから、Sさん宅付近で時々見かける男性を、旦那さんだなと思うようになった。
まあ、思い込んでしまったんです。
会うと会釈してました。
向こうもニコニコと会釈を返した。
ある日、その男性が町内の別の家に入っていくのを見た時、Sさんはこの家の人と知り合いなのだと思った。
その後何度か、Sさんのご主人がその家に入っていくのを見て、よほど親しいんだなと思ってた。
ところが、きのう、Sさんの家からゴミ袋を持った男性が現われて、ゴミかごに入れてまた戻っていったのを見て、私がSさんだと思っていた人は別人だったとわかった。
なんの問題もない、長期にわたる人違いであったが、思い込みというのは恐ろしいもんだと思った。