録画してあった時代劇映画『十三人の刺客』を見ました。
明石十万石のお殿様の暴虐ぶりが幕閣の知るところとなって、厳しい処分が必要であるということになった。
ところがこのお殿様は現将軍の弟で、将軍は厳しい処分どころかこの弟を来年老中に抜擢しようと考えている。
そんなことになっては天下の一大事と、老中たちは明石藩主の暗殺を計画し、旗本(片岡千恵蔵)に実行を命じる。
そんなこととは知らない明石藩一行が参勤交代で国元に帰る道中を狙って、十三人の刺客が襲撃するというならスリリングなんですが、明石藩のやりての家老が計画を察知するんです。
で、暗殺計画があると知ってる明石藩の参勤交代の行列を十三人で襲うというんです。
これ、かなり無理な設定だと思います。
最初の襲撃は江戸を出てすぐの川の渡し場です。
刺客たちが川原で待ち構えてるんですが、待ち構えること自体が無理だと思います。
襲撃されるとわかってるんですよ。
前もって小屋とか調べますよね。
だだっ広い川原の小屋で刺客たちがおしくらまんじゅう的に待ち構えてる。
そこへ、前もって調べなかったけど厳重警戒の行列がやってくる。
警戒厳重ですから襲撃できない。
当然でしょう。
で、刺客たちは「いったん江戸に帰ろう」といって帰ってしまう。
江戸に帰って計画を立てなおす。
そんな悠長な。
新幹線ないんですよ。
帰ってどうする。
行列をつけて行きながら計画を立てなさい。
で、計画通り道中の山村を要塞化してそこで襲う。
この襲撃がすかっとしない。
狭い集落の狭い道で押し合いへし合い右往左往です。
敵味方うじゃうじゃと入り乱れてあっちへ行ったりこっちへ行ったりでわけわからんなあと思ってたら、どういうわけか殿様がひとりぼっちになってしまって、これまた片岡千恵蔵がひとりぼっちで待ち構えてる屋敷に走りこんだので、敵味方大将同志一対一で感激のご対面となる。
いろいろおかしいんですが、この大乱闘の間、村人の姿がどこに消えたかまったく見えないのが一番おかしいと思いました。
それと「十三人」というのがちょっとしんどい数字でしたね。
「三匹の侍」かせめて「七人の侍」なら、一人一人がわかりますが、十三人となると「四人その他大勢」という感じで、集団の中の個性というものが感じられず残念でした。
いろいろムリのある中、白黒のいい画像で、かなりがんばった映画だと思いました。