朝、整骨院に行く。
整骨院の新年会が四国であって、そのときの写真がはりだしてあった。
院長やスタッフが、かつらをかぶってのカラオケ姿など、楽しい写真がたくさんある。
日本家屋の前で、全員そろって写した写真があった。
由緒ある建物なのだろうか。
若い男性スタッフに尋ねた。
「これは、どこ?」
「あ、それは、『あいのやかた』です」
「・・・いやらしいとこへ行ったんやね〜」
「い、いや、ちがいますよ!『あいのやかた』って、あの、あい、あい、藍染ってあるでしょ、藍染のアイです。藍染の体験とかができるんですよ」
「藍のやかた」ねー。
「あいのやかたに行きましょう」
名前、変えたほうがいいと思います。
午後、母の居る施設に行く。
男性入居者Nさんが、活発に動こうとしている。
活発に動く気はあるのだが、活発に動ける身体ではない。
気持ちと現実がずれている。
危険である。
Nさんに限った話ではない。
気をつけましょう。
とりあえず椅子にかけてもらう。
すわったと思うと立つ。
なんやかやと話しかけて気をまぎらせようとするが、Nさんの「気」自体があってないようなものだから、まぎれるのどうのというレベルの話でもない。
と、突然Nさんが、右手をにぎって振りはじめた。
なにをするのか。
何か言ってる。
「じゃんけんじゃんけん」
おお!じゃんけんか。
よっしゃ!
「じゃんけんぽん!」
Nさんがチョキで、私がパー。
「どっちが勝ち?」
Nさんは、ニコニコ笑いながら、自分を指差した。
ほお、わかってるじゃないですか。
Nさんはすぐに握りこぶしを振って、かすかな声で、「じゃんけんじゃんけん」
今度は、私がパーで、Nさんがグー。
「どっちが勝ち?」
Nさんは、私を指した。
「じゃんけんじゃんけん」
のってきましたよ。
結構楽しいではないか。
Nさん連勝。
すると、Nさんは、げんこつを自分の鼻に当てて、上を向いて「天狗」のしぐさ。
連勝に気をよくしてますね。
どんなもんじゃいと挑発してますね。
こういう、ちょっとしたしぐさがNさんは実にうまい。
タイミングよく決めます。
表現力が豊かである。
ことばに加えて、表情、身振り手振りも大事であると教えられる。
Nさんは、表現力が豊すぎて、時々大声を出すので困りますが。