若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

散髪

散髪に行った。
三十年以上通っている店である。

最近は、奥さんの愚痴を聞きにいっているようなものだ。
私より、年上だと思う。
一日中立ちっぱなしで、しんどいという。
店の仕事と家の仕事、やってられない。
主人は、店が休みの日は遊んでいられるが、私はそうは行かない。
そうでしょうな。

通い始めたころは、駅前にあった。
近くに、市役所、税務署、郵便局の本局などがあって、たいそうはやっていた。
若い衆が、四、五人、忙しく立ち働いていた。
店の一角に喫茶コーナーを設けて、待っている間にコーヒーを飲ませたりした。
主人は、やる気満々であった。

そのうち、店から少し離れた自宅の一階を改造して、そこでも営業を始めた。
散髪屋さんも、日本経済の動きを反映している。

十数年前、表通りの店を閉めて、自宅の店だけになった。
若い衆も居なくなって、主人と奥さんだけになった。
市役所が移転して、人の流れが減ってしまったのだ。

小学生の娘が二人居るなと思っていたら、中学生になり、高校生になって、いつの間にか結婚して、しょっちゅう孫を連れて店に来る。

二、三年前のことだ。
下の娘さんが男の子を連れてきていた。
主人が、夕食を食べて帰れといった。

「ふん、中華にしようかな」
「好きなもん頼めや」
「うん。適当に頼んどくわ。もしもし、来来軒さん?○○です。出前お願いします。えーっと、ラーメンみっつ、焼きそばふたつ、中華どんぶりふたつ、チャーハンふたつ、餃子三人前、しゅうまいふたつ、野菜炒めふたつ、ニラレバーいためふたつ・・・」
「おいおい!それ、誰が食うねん!?」
「誰が食うねんて、これくらい食べるやろ」

今日、奥さんは、いつまでも娘たちの心配をしなくてはならないとこぼしていた。
二人の娘が、しょっちゅうやってきては、家にあるものを持って帰る。
それで、三軒分の買い物をしておかなくてはならない。

先日娘になんと言われたか。
「おかあちゃん、スーパーで安物の肉買うたらあかんで。肉はデパートで買い」

何でこの忙しい私がデパートまで肉買いに行かんならんの!

この前は、ほんとにあきれた。
冷蔵庫に六つ卵があったのを、上の娘が持って帰ってしまった。
あの子、卵六つ、どうやって持って帰ったんやろ?

こんな話を聞きながら、ひげをそってもらってます。