きのうは、ヤマハ西大寺の、ボーカル科とアコースティックギター科の発表会。
西大寺の駅で、ボーカル科の女性といっしょになった。
彼女が、コンビニでお茶を買うというので、入り口で待ってると、恰幅のいい銀髪の紳士が、私を見て足を止めた。
私のギターケースに目をやり、顔を見て、何かものを言いたそうな表情である。
ひょっとすると、ヤマハの関係者かもしれない。
しばしためらっているようであったが、照れたような笑顔を浮かべて近づくと、遠慮がちに話しかけてきた。
「・・・失礼ですが、今日、出演される方ですか?」
「はい。ヤマハの関係の方ですか」
「え?ヤマハ?いや、あの・・・今日、秋篠音楽堂に出演される方じゃないんでしょうか」
秋篠音楽堂は、奈良で一番といわれる音響空間を誇る小ホールである。
ギターのイベントがあるのか。
「いえ、私は、ヤマハの発表会に出るんですが」
「あ、そ、そーですか。失礼しました」
帰ってから調べると、秋篠音楽堂では、荘村清志さんはじめ、三人のギタリストによる「ギタリストの饗宴」という演奏会があったようだ。
西大寺駅の紳士は、ギターケースを下げた、一見アーチスト風イケメンナイスミドル、というと偽装表示か、イケメンナイスシニアの私を見て、「ギタリストの饗宴」の出演者と思ったらしい。
まあ、そう思われてもしかたない、
私を見れば、誰でも、「ヤマハの発表会」より「ギタリストの饗宴」に出る方がふさわしいと思うだろう。
いずれにせよ、「秋篠音楽堂に出演される方ですか」と聞かれて、気分が悪いはずがない。
意気揚々とヤマハの教室に向かう私を、大きな落とし穴が待っていようとは、神ならぬ身に知る由もないのであった。
きのう、私は、オリジナル曲の弾き語りとと、Y森さんの「ヘイ・ジュード」、W君の「スタンドバイミー」、Aさんの「青春の輝き」の伴奏を受け持った。
「青春の輝き」が少し厄介だが、後はまあ、楽勝。
特に「スタンドバイミー」は、今回一番安心、というより、四つの簡単なコードを繰り返すだけという、私のヤマハ歴の中でも、最も安心安全なギター伴奏である。
と思ってたら、なんと、曲が始まると同時に、いわゆる「頭真っ白」状態になってしまった。
コード四つですよ。
その四つが、頭から消えてなくなった。
恐ろしかったです。
Y森さんの話をしてる場合じゃないです。