いよいよ明日出発です。
どこへって、ロサンゼルスですよ。
ロサンゼルスは、アメリカの町である。
これまで誰にも顧みられることもなかったアメリカ西海岸のこのあわれな町が、一躍脚光を浴びることになったのは、三月に花ちゃんが住むようになってからだ。
ほとんど無名に近かった、何のとりえもないこの町が、「花ちゃんの町」として全米に知られるようになった。
アメリカの中心になったといってもいい。
花ちゃんが住むようになったのをきっかけに、オバマ大統領は、「チェンジ!イエス、ウィキャン!」をキャッチフレーズに、アメリカの首都を、ワシントンからロサンゼルスに移そうとしているほどだ。
アメリカの中心というより、世界の中心、いや宇宙の中心というべきかも知れない。
アインシュタインの相対性理論に従えば、花ちゃんのいるところが宇宙の中心ということになるから、現在宇宙の中心はロサンゼルスということになる。
そのロサンゼルスに、なぜ私たちが行くのか。
これは、相対性理論では説明できない。
ニュートンの、「万有引力の法則」の出番だ。
物質には「引力」がある。
花ちゃんにも引力がある。
花ちゃんの持つ強い引力が、私たちを引き寄せるというか吸い寄せるというか、まあ、ぶっちゃけた話、ニュートンですよ。
私たちが行きたくて行くのではない。
人の力ではどうしようもない自然現象というか、まあ、大宇宙の神秘的な法則に従って、行かざるを得ないのである。
アインシュタインの相対性理論や、ニュートンの万有引力の法則などを持ち出して、花ちゃんの頭を混乱させたくはないので、花ちゃんには黙っているつもりです。
生後八ヶ月の花ちゃんに、そこまで理解してもらおうとは思わない。
今のところは、「おじいちゃんとおばあちゃんが、私の顔を見たくて来たんだな」という程度の理解でいいと思います。
(今、旅行社の担当の青年から電話があった。「お荷物の準備などできましたか?」とのことである。高齢者の初の海外旅行ということで、気になったらしい。「心配なら手伝いに来て」と言ったら、笑ってました)
向こうで更新できればいいんですが。