今日は、ヤマハの発表会。
数年前までは、発表会の前に悪夢でうなされたものだ。
ステージに立って足元を見たら断崖絶壁だったとか、ギターを弾こうとしたら、弦が全部切れてたとか。
最近は悪夢を見ることがない。
習い始めて二十年近くたって、やっと平静な心で発表会を迎えられるようになった、ということではなくて、あきらめというか、ヤケクソというか、悪夢を見ようが見まいが、本番でこけるのに変わりはない。
変わりがないなら、悪夢にうなされるだけ損だともいえるし、得だともいえる。
まあ、バカみたいな夢を見るほうが得かな。
今回の三曲は、これといって心配はない。
「ワイプアウト」は以前やったし、「オープリティーウーマン」はゆっくりした曲だし、「スモークオンザウオーター」は、バンドの爆音の陰に隠れて弾けばいい。
ぶっちゃけた話、私も、Y森さん同様、バンドの爆音でごまかそうという作戦である。
ボーカルとリードギター、バンドの花形二人が、爆音に隠れてひっそりやろうというのだから困ったもんだ。
この「ひっそり作戦」、ボーカルよりギターが難しい。
ボーカルは、声を限りに絶叫してもしれている。
ギターは、アンプのボリュームを上げると、とんでもない大音量が出る。
下げると聞こえない。
習い始めた頃、爆音派の若者達に悩まされたものだ。
あるとき、スタジオで練習してた。
家ではとても出せないような大音量で弾いて喜んでたら、同じクラスの若者が二人入ってきた。
「若草さん、いつもこんな小さな音で弾いてるんですか?」
二人が弾きだした。
すさまじい爆音であった。
昼前、一時間ほど三人で練習したのだが、私は、ぐったりしてしまって、昼食をとる気がしなかった。
大音量で弾くのは、ストレス発散にはいいけれど、ヘタさが丸わかりになるのが難点だ。
私の理想は、ギターが途切れ途切れに聞こえて、うまく弾いてるみたいだけど、バンドの爆音に隠れてよく聞き取れないなあ、と客に思わせるような音量だ。
アンプを使ったバンドで、適当な音量設定というのは、本当に難しい。
私達の、昨日の練習でも、「ボーカル、聞こえいくいです」「ベースが聞こえにくい」「キーボード、もっと大きくなりませんか?」「ギター、聞こえにくい」等々、結局ぜーんぶ聞こえにくい状態であった。
いいんじゃないでしょうか。