今日は、兵庫県立美術館に行ってきました。
「ルノワールとフランス絵画。奇跡のクラークコレクション」
何か月か前、この展覧会を東京でやってる時知って、こっちに来たら行こうと思ってたのに忘れてました。
きのう、9月1日までと気づいてあわてて行ったんです。
なんといってもルノワールだし、会期末だし、夏休みだし、混んでるかなと思いましたが、混んでました。
どの絵の前も人だかりでしたが、ドガが描いた中年男性の肖像画と、ルノワールの老年の自画像の前は人が少なかった。
おじさんの肖像画は人気がないですね。
どちもいい作品だと思うんですが。
兵庫県立美術館に来ると、いつも常設の小磯良平作品なども見ます。
そのつど印象が変わります。
今日、「ルノワールとフランス絵画」を見たあとでは、小磯良平やその他の日本人画家の油絵もいいもんだなあと思いました。
フランス絵画とはちがった味があります。
来る時の電車ですわってたら、二人連れの女性が私の前に立ちました。
ひとりは、服の胸のところに大きなミッキーマウスの顔があって、バッグも派手なディズニー漫画のキャラクターもので、バッグからディズニーキャラクターの人形がのぞいてました。
よほどのディズニーファンだと思って顔を見たら、60代くらいのキンパツ女性でした。
ふたりのおしゃべりを聞いてたら、「東京の劇場」「一階席ならいいけど、二階席はちょっと」「公演のチケット」「レッスン」「大きな教室」というような言葉が切れ切れに聞こえてきました。
知らん顔を装って必死に盗み聞きしようとしたんですがよく聞き取れないので、「すみませんがもうすこし大きな声でしゃべってもらえませんか」といいたかったけどいえなかった。
ミッキーの女性が、ダンスかなにか教えてるんじゃないかと思いました。
ふたりの知り合いの噂話になりました。
「さゆりちゃん(仮名)の結婚式、ハデやってんてねえ」
「テレビ局があっちこっち取材に来たらしいよ」
「へえ!」
「だって、何億円やもん。芸能人超えてるもん」
「一般人で何億の披露宴てなあ。あの子、よう使うなあ」
「さゆりちゃん、いつも言うてやるわ。お金は使わんと入ってけえへんって」
す、す、すご〜〜〜い!
な、な、何億円の披露宴!
さゆりちゃんってどんな人ですかと聞きたかったけど聞けなかった。
で、クラークコレクションを見たんです。
そして、思いました。
何億円の披露宴なんか、たいしたことない。
しょぼい話です。
アメリカ人クラークさんのおじいさんは、シンガーミシンの創業者の一人なんです。
そのとんでもない財産を受け継いだおとうさんからのとんでもない財産を受け継いだクラークさんは、大変な美術好きで、若い時から、ルネッサンスから印象派の油絵や美術工芸品などを含む膨大なコレクションを築き、17万坪の敷地の個人美術館を作って収めてあるんです。
そのクラークコレクションを見たあとでは、俄然、強気になってしまいましたね。
何億円の披露宴がなんだってんだ!?
へん!笑わせんない!
こちとらにゃクラークさんがついてるんだぜ!
何億円ていどの披露宴で大きな顔するんじゃねえ!
はした金じゃねえか!
くやしかったらルネッサンスから印象派の油絵を集めて、奇跡のさゆりコレクション、17万坪の敷地の美術館に収めてみろってんだ、こんちくしょう!
鼻息も荒く帰ってきたのであった。