若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

美顔

きのう、兵庫県立美術館に行ったんですが、行きも帰りも電車で往復盗聴でした。

帰りの電車で隣に座った二人組の女性のおしゃべりを聞いてました。
私と同年配の、「元祖大阪のオバチャン」という感じのおふたりでした。

そのうちのひとりA子さんは、セールスのお仕事をしてるようです。

「私らセールスマンはね、「買うてください」と言うたらあかんと思うの」
「ふ〜ん」
「セールスというのはね、紹介よ。知らない人に、こんな商品がありますよって、知らせてあげるわけ」
「なるほどね」
「こんなクリームがありますよって教えてあげて、サンプルをあげるとこまでが仕事やね。それを使って、いいと思うか悪いと思うかは、その人よ。買おうと思うかどうかはその人が決めるの」
「それはそうやね」
「買ってください、と言うてはダメ」

A子さんは、化粧品のセールスをしているようで、最近は、洗顔器(?)も手がけているようです。

「弟にその話をしたのよ。そしたら、僕も欲しいって」
「男やのに?」
「そう。あんた、男やのにって言うたらね、男も女も関係ないって。トシとると、男でも女でも肌がくすんで暗くなってくるって言うの。だから、肌が明るくキレイになるのなら僕も欲しいって」
「ふんふん」
「安くないよって言うたらね、僕は耐用年数で考えるって言うの。35万ほどよって言うたら、10年は使えるやろ。1年で3万5千円、一ヶ月で3千円、一日100円。ジュース飲んだりタバコ吸うこと思たら、それで肌がきれいになるなら高くはないって」
「なるほど!そういう考え方ってあるよね。で、弟さん、買いはったん?」
「それがやねえ、弟が友達にその話したんやて。そしたら友達が、その機械やったらうちの嫁さんが持ってるワ。何年か前に買うて、使わんとほったらかしやから、欲しかったらやる言うて・・・」
「ふ〜ん・・・効果なかったんかなあ。あんた、使ってるの?」
「もちろんよ。人様にすすめる以上はね」
「自分で使えば説得力あるものね。どれくらい使ってるの?」
「二年くらい」
「効果あった?」
「・・・効果というより、意識は変わったわね」
「意識?」
「美しくなりたい!いつまでも美しくいたい、って意識ね。そのためにお金も手間暇もかけてますっていう意識ね。どうでもいいと思ったら、人間おしまいよ。意識することが大事よね。所長も言うのよ、意識が大事やって」

ここまで話したとき生駒駅に着きました。
ふたりが降りたので続きが聞けなくて残念に思いましたが、A子さんが座席に日傘を置き忘れてた。

私がホームに出たふたりに声をかけたら、A子さんがあわてて戻ってきて、何も言わずに私の手から日傘を奪い取ると、アタフタとホームに戻って、「日傘忘れてたワ!あ〜はっはっは!」と身体をのけぞらせて笑った。
B子さんも、「日傘忘れたん?あ〜っはっはっは!」と身体をのけぞらせて笑った。

二人で笑い転げてた。
笑うことは肌にいいと思ったが、私のことが意識にないようなのはちょっとさびしいと思った。