きのうは美術予備校。
この時期になると平日午後の社会人クラスに受験生が混じってきます。
直前特訓です。
きのうも4人いました。
教室の空気は張り詰めますというか受験生を見ている私が張り詰めてしまう。
『祈りの聖母』を模写するのにふさわしい雰囲気である。
着色していってるんですがこういう名画は「絵の具を塗る」というようなもんじゃないです。
先生は「どれくらいの絵具を置いてどの方向にどのくらいの力でどれくらいのスピードで延ばすか固い筆を選ぶか柔らかい筆かというような問題です」とお手本を見せてくれるんですが、そう簡単にはまねできませんわ。
模写はある程度進んだところでめげそうになります。
これはあかんわ、という感じ。
さて、石膏デッサンに励む60代女性は、先週先生から「来週仕上げましょうね」と言われました。
この言葉を誤解する人が多い。
「来週終わりましょうね」じゃないんです。
彼女が2時から5時まで一心不乱に取り組んだデッサンを見て先生は、「う~ん・・・このあたり、まだちょっと気になりますね~。来週仕上げましょうか」と言いました。
今日は仕上がらなかったんです。
彼女は不満そうに言いました。
「先生、今日で17回目なんですけど」
「・・・まあ、いいじゃないですか。受験生じゃないんで。時間はいくらでもかけられますからねえ」
たしかに時間はいくらでもかけられます。
ウチの先生は社会人にはやさしい。
やさしいが厳しい。
その辺が「カルチャーセンターで楽しむ」とのちがいです。
水彩を描いてる男性はいつも、「まだお許しが出ないんです。この絵、4か月かかってるんですよ。もうくたびれました。もうだめです」とか言ってます。
頑張った甲斐あって、水彩画の全国展に入選して喜んでました。
それにしても、石膏デッサンで3時間17回は長いです。
長いけどめげてはいけない。
先生のお許しが出るまで頑張れば立派なデッサンになりますよと励ましたんですが、めげてやめる人も多いです。
戦友の皆さんに頑張ってもらいたいです。