17世紀の画家ジョヴァンニ・バティスタ・サルヴィ作ロンドン・ナショナルギャラリー所蔵『祈りの聖母』と、昭和34年日活映画マイトガイ小林旭主演『ギターを持った渡り鳥』との不思議な関係についてご報告いたします。
『祈りの聖母』を模写してます。
聖母は何を祈ってるのであろうか。
美術予備校で受験生たちに交じって模写を続けてると、聖母が受験生たちの合格を祈願してるように思えてくる。
受験生たちがお賽銭をそなえてくれてもいいと思う。
受験生にはそんなこと考えてる余裕はないと思う。
さて、お話変わって『ギターを持った渡り鳥』です。
話変わりすぎですね。
録画してあったのを見ました。
予想通りの映画でした。
映画が始まると北海道の大草原です。
地平線まで見渡す限りの大草原を荷馬車が走ってくる。
たぶんマイトガイアキラが荷台に乗ってるんだろうと思ってたら乗ってました。
若い!
細い!
大草原のど真ん中で馬車がとまって、手綱を取ってた男が指さして「函館はあっちだ」と言うんです。
たぶんマイトガイアキラがそっちへ向かって歩いていくんだろうと思ったら、ギターを担いで歩きだしました。
地平線に向かって。
無事函館につけるのかと心配してたら、次のシーンは酒場で、マイトガイアキラは歩き疲れた様子もなく一人静かに飲んでる。
突如不良外人二人が暴れだす。
悪役外人プロレスラー全盛の時代ですから、突如外人が暴れだしても不思議じゃない。
マイトガイアキラが外人と殴り合うんですが迫力ない。
殴り合ってないのがまるわかりなんです。
迫力ない殴り合いがかなり続きます。
で、なんか知らんけど悪そうな親分登場。
で、ついでと言っては何ですが、親分のお嬢さん浅丘ルリ子登場。
お嬢さんですからピアノを弾く。
当時としては豪華今となってはしょぼい洋間で華麗に弾く。
で、マイトガイアキラもお嬢さんに負けじとピアノを弾く。
かっこよく弾き終わってすっくと立ちあがったマイトガイアキラを見て私はあっと叫んで椅子から転がり落ちた。
マイトガイアキラの後ろの壁に、な、な、なんとジョヴァンニ・バティスタ・サルヴィ『祈りの聖母』がかかっているではないか!
これはいったい・・・!?
私に「マイトガイアキラと張り合って、センベーガイ鹿之助と名乗れ」とのお告げであろうか?
ジョヴァンニ・バティスタ・サルヴィの墓前にこのことを報告したいと思います。
びっくりすると思います。
さて映画のラストに気になるシーンがありました。
マイトガイアキラが去っていくのをお嬢さんルリ子が見送るんです。
画面右の柱に「靴洗所」という張り紙があります。
なんですか?
「靴洗所」
函館港の漁師さん用ですかね。
漁師さんが長靴を洗うのか。
まあ、なんでもええけど、マイトガイアキラ主演の映画を撮影するのにこんな張り紙くらいはがせばいいと思うんですが。
いや、監督はこの張り紙を入れたかったのかもしれない。
何かのメッセージがこめられているのかもしれない。
いろいろ書きましたが見るネウチはないです。