録画してあった映画を見ました。
題名からして「家庭劇」と思ってたんですが意外にも「西部劇」でした。
ジョン・フォード監督、ジョン・ウエイン主演の典型的西部劇と思って見てたんですが、途中からなんかおかしな雰囲気になって、「西部劇」というより「宗教劇」みたいなのでネットで調べたら、この映画は「クリスマス映画」だそうです。
日本で言えば「お正月映画」みたいなもんですね。
「西部劇」もわけのわからんのが多いですが「クリスマス映画」ともなるとますますわけわからん。
三人組登場。
ジョン・ウエインとメキシコ人おっさんと金髪青二才の、まあよくある感じのトリオです。
馬にまたがって現れたこの三人が銀行強盗を計画してるんです。
なんか、ピクニックの計画みたいなあっけらかんとした雰囲気です。
「いい天気だし、銀行強盗でもするか?」
「いいねえ!」
みたいな感じ。
切羽詰まってもいないし緊張感もない。
白昼堂々銀行に押し入るというよりすっと入ってすっと出てくる。
手に小さな袋を持って出てくるんですが、2千円くらい入ってるのかな。
で、あっさり町から逃げ出す。
「さて、ここからお話が始まるんです」という感じです。
この三人がどこで名付け親になるのか。
なかなかならない。
アリゾナの砂漠を逃げていくんですが、この「砂嵐映像」はすごいです。
エンエンと見事な「砂嵐映像」です。
タイトルは『三人の砂嵐』の方がいいんじゃないか。
見てるだけで口の中がじゃりじゃりしてくる。
水は水筒にあるだけです。
三人はのどの渇きに耐えながら砂嵐の中を進む。
監督に聞きたい。
馬はどうなる。
私の乗ってる馬はポリバケツ二杯は飲みますよ。
どうかすると四杯おかわりすることがあります。
とちゅうでジョン・フォードも気づいたようで、馬はどこかに行ってしまう。
馬まで面倒見切れんということですね。
仕方なく三人は砂嵐の中を歩く。
そして、ついに砂漠の中に幌馬車発見!
ここで名付け親になるんでしょう。
この見捨てられた幌馬車の中に産気づいた女性が一人取り残されてる。
理由はややこしいので聞かない方がいい。
あえて言えばクリスマス映画だからというほかない。
この女性を前にしてジョン・ウエインが「オレもタフな男だが、お産なんて冗談じゃない!逃げ出したい!」と頭を抱える。
ここ、受けるとこだと思います。
で、女性が男の子を生む。
ここで三人が名付け親になるかと思ったらならないんです。
女性が名前をつけて「この子をよろしく」と言って死んでしまう。
原題は『3 godfathers』というんですが「ゴッドファーザー」には「名付け親」という意味はなくて「代父」というものらしい。
『三人の代父』では語呂が悪いから『三人の名付け親』にしたんでしょう。
さて、このあたりからとってつけたように聖書が登場、讃美歌独唱、詩篇朗読など、突如クリスマス映画らしくなってきます。
赤ちゃんはイエス様で三人は東方の三賢者だと金髪青二才が言うんです。
ジョン・ウエインがまごつきながら赤ちゃんをあやすシーンも受けるとこなんだろうと思います。
三人で赤ちゃんを抱いて砂漠を行くんですが、まず金髪青二才が死んで次にメキシコおっさんが死ぬ。
べつに死ななくてもいいと思うんですが死ぬ。
赤ちゃんを抱いたジョン・ウエインが半死半生で町にたどり着いたと思ったら保安官が登場。
どうなる!?
どうなるもくそもない!ハッピーエンドじゃ!
時間切れか?
なんかしらんけど、なんかわからんけどとにかくハッピー!
保安官ニコニコ、ジョン・ウエインニコニコ、判事もニコニコ、町の人ニコニコ。
金髪青二才もメキシコおっさんも馬も幌馬車の女性もその亭主もどうでもいい!
クリスマスじゃ~!
ご陽気に参りましょう!
という映画だと思います。