『住所録』という本を読んでますが、楽しい。
日本の郵便制度と言うと前島密がイギリスから導入したということを知ってるくらいです。
イギリスで始めたのはローランド・ヒルという人だそうです。
イギリスでは17世紀から国営の郵便制度があって、えらい人はタダで利用できたけど一般人は料金が無茶苦茶高かった。
無茶苦茶高いうえ受取人払いだった。
で、郵便配達が来ると逃げ出す人もいた。
ローランド・ヒルは、こんなことではだめだ!と思った。
国民が気軽に手紙を書けるようになることは、精神的知的進歩に役立ち文明発展の原動力である!と訴えた。
1830年代のことです。
産業革命が進んで少年少女たちが親元を遠く離れた工場で働くようになった。
親と子が手紙で心を通わせることができるような料金にしなければならない!
親と子の会話に税金をかけるようなことをしてはならない!
郵便制度って飛脚の改良版くらいに思ってましたが、そういう気高い思想の裏付けがあったんですね。
郵便利用が進むにつれて住居表示の改良が必要になった。
当時のロンドンはどんどん拡大していて、住宅地を開発した業者が街の通りにお手軽に奥さんや子供の名前を付けることが多かった。
「メアリーストリート」が何十もあったし「エリザベスストリート」も何十もあった。
考えるのが邪魔くさいから「キングスストリート」が何十「クイーンズストリート」が何十というありさまで郵便屋さん泣かせだった。
住居表示改良は第二次大戦ドイツ軍の空襲の最中も続いたそうです。
空襲で町が破壊されるは住居表示は変わるはでどこがどこだか訳が分からなくなったそうです。
宛先不明、差出人不明の手紙を「DEAD LETTER」と言うんですね。
成仏せずにさまよってる。
満中陰前の手紙。
ちがうか。
こういう手紙を集めてなんとかして宛先に届けるか差出人に戻そうというのが「DEAD LETTER OFFICE」という部署です。
世の中おかしな人がいるもんで、この「DEAD LETTER OFFICE」を相手に遊ぶ人があるんです。
わざとややこしい書き方をして届くかどうか楽しむ。
暗号みたいにしたり絵文字にしたり「色覚検査図」みたいにしたりして「DEAD LETTER OFFICE」に挑戦する。
挑戦された方も張り切って取り組んで、謎を解いて届ける。
なんとか解読して届いた封筒に「ロンドン郵便局が解読しました!」と書いてあったりしたそうです。
封筒でわからないと開封して中を調べる。
小包は開封が怖いそうです。
開けたらガラガラヘビがにょろにょろということがあったそうです。
DEAD LETTERがDEAD MANではしゃれになりませんよ。