サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒチコック監督の『引き裂かれたカーテン』を録画してあったのを見ました。
いろいろつまらん映画を見てますが、これはかなりひどい。
ヒチコック監督作品は肌が合わなくて、これまで最後まで見たのは『北北西に進路をとれ』だけかな。
何本か途中でやめてます。
わざとらしいというか不自然というか都合よすぎというか、ついていけない。
この『引き裂かれたカーテン』は最後まで見ました。
あまりにわざとらしく不自然で都合よすぎるので、あきれて最後まで付き合わされたという感じです。
ポール・ニューマンがアメリカの科学者で、東ドイツに亡命するふりをして、東ドイツの軍事機密を盗み出そうと言うんです。
あの時代にアメリカの科学者が思いついたようにして婚約者を連れて簡単に東ベルリンに行けるのか疑問ですが、簡単に行って東ドイツ政府から大歓迎される。
滞在先のベルリンホテルに護衛付きで案内される。
そして、アメリカからの大物亡命者ポール・ニューマンが、悪名高い東ドイツ秘密警察の監視をくぐり抜けて、というより、監視もなくうまい具合にホテルを抜け出るところで見るのをやめようかと思いました。
うまい具合に抜け出たと思ったら、うまい具合に秘密警察の男が気づいて尾行する。
抜け出なければ話にならないし、尾行しなくても話にならない。
話はうまい具合に進みます。
ホテルを抜け出したところにバスがやってきてポール・ニューマンは行き先も確かめずに飛び乗る。
秘密警察の男はバイクで追跡する。
ポール・ニューマンがバスの中でポケットをごそごそしてると思ったら、ベルリン美術館の案内が出てきた。
で、「ベルリン美術館前」で降りて美術館に入って行く。
入って行くんだから開館中だと思いますが、館内はまったくの無人です。
客もいなければ監視員もいない。
絵と彫刻が並ぶ広大な館内をポール・ニューマンがただ一人あっちの部屋からこっちの部屋へ意味もなく走り回る。
いや、意味は、「ここでハラハラしてください」ということです。
突然ドアを開けて美術館から走り出たと思ったら、うまい具合に止まってたタクシーに乗って走り出す。
着いたところは農場で、反政府組織の本拠地です。
うまい具合に秘密警察の男も到着。
ずっとつけてたみたい。
二人は再会を喜び合うわけはなく、激しく争う。
それを見ていた農場の女が包丁を持ち出して秘密警察の男の胸を刺す。
胸を刺されて血を流しても男は争い続ける。
それを見た女は大きいシャベルを持ち出して男の足を殴る。
ここは足じゃないでしょ、頭でしょと思うのは素人の浅はかさ。
巨匠ヒチコック監督には考えがある。
大きなシャベルで足をガンガン殴られて倒れても男は争い続ける。
ポール・ニューマンにしては珍しくてこずってます。
二人が床で首の締め合いをしてるのを見た女は、ガスオーブンに気づく。
そして女はガス栓を開ける。
そして女は床で首を絞めあってる男二人をズルズルとガス栓のところまで引きずっていく。
怪力です。
そして秘密警察の男にガスを吸わせて殺すんです。
包丁で胸を刺す、シャベルで足をガンガン殴る、ガスを吸わせる。
さすがヒチコック監督、簡単には死なせてくれませんね。
この後もずっとこういう感じで続きます。
なかでも楽しいのは、この秘密警察の男の行方不明記事が新聞に出るんです。
堂々と男の顔写真入りで。
東ドイツの秘密警察でっせ。
いくら何でもお粗末と思いました。