昭和38年大映映画『眠狂四郎殺法帖』を録画してあったのを見ました。
市川雷蔵の当たり役というのは知ってました。
眠狂四郎というのは、「転びバテレン」と日本人女性の間に生まれたハーフの「無頼の剣客」だそうです。
「無頼」というのは「頼りない」ということではないと思います。
「剣客」というのは剣を買うお客様ということではないと思います。
「殺法帖」というのは殺し方レシピじゃないと思います。
映画が始まると、真っ暗な画面にピュッピュッピュッピュッ!と小さな火の玉が飛ぶ。
一瞬真っ暗になってまた飛ぶ。
焼き討ちが始まるのかと思ったら、ジャ~ン!市川雷蔵アップで登場!
待ってました!と声をかけたいとこですが、「お待たせしません!」という登場の仕方です。
「伊賀者か?」と言ったので火の玉は狂四郎を狙った手裏剣みたい。
おかしいではありませんか。
暗闇で狙うのになぜ火の玉つき手裏剣?
飛んでくるのがまるわかりですよ。
たしかに視覚効果大ですが。
で、伊賀者登場。
チャンバラになって、たぶん皆殺しにしたんだと思います。
昭和38年、血も出なければ死体もなし。
場面は一転、船宿でくつろぐ狂四郎にしなだれかかるおかみ。
遊んで暮らせるけっこうな身分みたい。
ふたりで別室に入ってふすまを閉める時ちらっと布団と枕が見えますが昭和38年裸なし。
またも場面は一転、どこから見ても誰が見ても悪党という顔の「ご家老」か「ご重役」タイプの前で中村玉緒が「でへへ~~~」などと笑わず昭和38年つつましくかしこまってる。
中村玉緒は身より頼りのない子供だったのを悪党に育ててもらったので命をささげる覚悟であるという。
悪党は中村玉緒に、命じゃなくて身体をささげるつもりで狂四郎に取り入れと命令する。
またも場面は一転、船宿の一室で市川雷蔵と中村玉緒が面談中である。
誰に紹介してもらったのか不明。
中村玉緒が「命を狙われてるので守ってほしい」と頼む。
市川雷蔵は鼻で笑って「あんたの命なんかだれが狙うんじゃ」と聞く。
私もそう思いました。
ここが唯一納得できた。
中村玉緒の話によれば加賀百万石の秘密がからんでるらしい。
市川雷蔵は「引き受けてもいいけど、報酬はあんたの身体だよ」という。
中村玉緒はきっとなって「お断りします。お礼はこの百両」とにらむ。
市川雷蔵は「そこが気に入った」と笑って引き受ける。
ここまで10分ほどかな。
60年近く前の中村玉緒にしみじみしながら見るのをやめたのでこの映画についてあれこれ言う資格はないと思います。
言うとるやないか?
いや、言うてません。