ふと、「絆」って何かなと思いました。
最近よく目にする言葉です。
東北大震災以来かな。
「人類はみな兄弟」的使われ方です。
あたたかそうである。
「絆っていいな」という感じである。
「絆」に似た言葉として「きずし」とか「なずな」があるが似て非なるものである。
「きずし」と「なずな」を足して二で割ったら「きずな」になると思う人があれば愚かな人である。
ならない。
絶対にならない。
辞書で調べました。
「馬の足にからめてしばりつける綱」
「馬、牛、犬などをつなぐ綱」
「そこから転じて人をしばる義理や人情」
そ、そ~なんですか。
あたたかさのかけらもない言葉である。
いい感じじゃない。
思い出した。
高校のころサマセット・モームの小説『人間の絆』を読んだことがあります。
美術部のSくんと「にんげんのひも」とか言ってふざけてたのも楽しいあほらしい思い出である。
中身はすっかり忘れてしまってますが原題はおぼえてる。
『OF HUMAN BONDAGE』で、「BONDAGE」は「拘束」です。
「絆」は「拘束」。
使われ方が完全に変わったんですね。
まあほとんど「死語」みたいなもんだったから、変わったという気もしませんが。
いい感じで使われだして「絆」は喜んでると思います。
思い出した。
津波関連のテレビ番組で被災者の中年女性の発言です。
「助け合い、助け合いって言いますが、これまで助けてもらったことはありません。お年寄りを助けろ、手伝えと言われるばっかりでした」
これが本当の「絆」かもしれない。