NHKテレビでやったのを録画して見ました。
四、五十年前映画館で見て面白いと思って、二、三十年前ビデオで見て面白いと思って、今回が三度目です。
ハラハラドキドキの場面ははっきりおぼえてるのにスジをおぼえてないのが不思議だったんですが今回見て理由がわかりました。
スジなんかない。
ハラハラドキドキの場面をつなぎあわせる接着剤みたいなのがある。
セロテープやノリなどあらゆるものを使って強引につなぎあわせてある。
ヒチコック監督の得意技です。
背景は東西冷戦時代の米ソスパイ合戦です。
謎が謎を呼ぶというのじゃなくて、おたがいすべてわかってるのに知らん顔してして無駄に動き回ってるという感じかな。
いろいろハラハラドキドキ場面がありますが、主役のケーリー・グラントが大平原で農薬散布の軽飛行機に追い掛け回される場面が一番の見せ場でしょう。
そんなたいそうなことしなくても360度地平線を見渡せる無人の大平原なんだからあっさり撃ち殺せばいいと思うんですがわざわざ軽飛行機をチャーターして追い掛け回す。
映画が始まってすぐにもあっさり撃ち殺すチャンスはあるのにバーボンを無理やり飲ませて酔っ払い運転に見せかけて殺そうとしたり、話を引き延ばすためのヒチコックらしい工夫が多い。
ケーリー・グラントが殺人犯と間違われて新聞に写真が出る。
で、ケーリー・グラントはサングラスをかける。
どこで買ったのかいつの間にか持ってた。
サングラスをかけても駅の切符売り場のおじさんに見破られる。
見破られて逃げるんだけどそのあとはサングラスなし。
なぜか。
主役がずっとサングラスかけてるわけにはいかない。
運よく見破る人はいない。
警官も見破らない。
いろいろおかしいとこがあるのに前に見た時はなぜ気づかなかったのか。
たぶん忙しかったから。
ヒマ人が家でゆっくり見るとあれこれ気になる。
ヒチコック監督らしい苦しい工夫の数々を楽しめる映画だと思いました。