朝日新聞。
五輪パラリンピック組織委員会が、森前会長の名誉最高顧問就任を検討していることがわかった。
ついに森さんが動き出した。
組織委員会の惨状にじっとしていられなくなったんでしょう。
一昨日、森さんは組織委員会の橋本会長と武藤事務総長を呼びつけた。
「会長、ご心配をおかけしております」と二人は頭を下げた。
「あはは、やめてくださいよ、会長なんて。他のみなさんもいまだに会長会長って困ってるんですよ。会長は橋本君なんだから」
「いえいえ、私の心の中では会長は今でも森先生です」
「うれしいこと言ってくれるねえ。キミみたいにわきまえてる子ばっかりだったらラクなんだけどね」
「財務省でも昔はこんな子が多くて助かったんですが最近はどうも」
「それはともかく、どうなってるの?小山田とか小林とか、なんですかあれは?聞いたことないですよ。武藤君、知ってるの?」
「いや、聞いたことないんです」
「橋本君は?」
「私も知りません」
「あなたみたいな若い人が知らないんじゃ話になりませんよ。オリンピックですからね。作曲家をお願いするならだれもが知ってる国民的作曲家にお願いしなければ」
「たとえば?」
「まあ、滝廉太郎さんあたりに頼めばまちがいなかったんじゃないですか」
「・・・お亡くなりになってますが」
「え!滝さん、死んだ!?いつ?コロナ?」
「いや、だいぶ前です」
「そう、滝さん亡くなった・・・。あと、そうだねえ、山田さんか」
「山田さん?」
「山田耕作先生ですよ」
「あの、お亡くなりになってますが」
「♪ああ、そうだよ~お」
「びっくりするじゃありませんか」
「思い出したんですよ。お二人とも私の小学校の音楽の教科書に出てたもんね。お亡くなりになってるはずだ。え~、もっと若い人というと、古賀政男あたりでもよかったんじゃない?」
「亡くなってます」
「そうか、私が知ってる人はみんな亡くなってるのか。困っちゃうな~」
「♪こまっちゃうな~、デートに誘われて~」
「武藤君、山本リンダが好きだねえ!」
「♪ウララウララウラウララ!」
「ヘイ!」
「お二人ともやめてください。気持ち悪いです」
「オリンピックだからね。マーチというと古関さんか」
「お亡くなりになってます」
「マーチというと、365歩のマーチ!♪一日一歩・・・。米山正雄さんは?」
「あの、このネタ、もういいんじゃないですか」
「いや、私が言いたいのは、東京オリンピックに最初に泥を塗ったのは私ですよ。それ以後泥だらけでしょう。私がこれまで手塩にかけて泥を塗ってきたオリンピックが最後の最後で名前も知らないようなチンピラに泥を塗られておしまいなんて黙って見てられませんよ。どうせなら私のこの手でオリンピックにとどめを刺したいんです!」
「森先生!」
「あ、森昌子の『せんせい』もよかったねえ!♪せんせい、せんせい、それはせん~せい~」
「え~かげんにしなさい!」
「ほんとにねっ!」