ハワイ大学出版局から出てる「世界史における新旧文明の出会い」という本を読んでます。
いろんな学者の短い論文集です。
前に書いた「食肉としてのイグアナ」もこの本です。
「世界史における新旧文明の出会い」というとすごく大きな話と思うけどすごく細かい話が書いてある。
「食料」について研究してる世界史学者も多いようです。
たしかに「食料」も大事だと思います。
ヨーロッパ人が中南米に行ってイグアナを食べ始めた。
出会いです。
「大西洋クロマグロ」の研究論文もありました。
「水産漁業」じゃなくて「世界史漁業」の論文です。
地中海地方の重要な食糧だった。
13世紀、カステーリャの王様が家臣の公爵にごほうびとして公爵家支配海域の「大西洋クロマグロ」の独占権を与えた。
公爵家は代々忠義を尽くしたので王様は独占権の範囲をどんどん広げて行って、ついには地中海の大西洋クロマグロはすべてその公爵家の独占ということになって、いろいろもめたというお話です。
論文のタイトルは「海の魚は誰のもの」というんです。
この「世界史における新旧文明の出会い」という論文集に「冬のソナタ」や「ヨン様」が出てくるとは思いませんでした。
著者は「セオドア・ユン・ヨー」というので韓国系の方ですかね。
マッコリという韓国の酒があるんですが、そのマッコリを国家をあげて「グローバル商品」にしていこうという政策を取り上げてます。
1960年代の韓国経済は非常に厳しくて米を酒の原料にするのを禁じたのはもちろん、米を食べることも抑制して、パンや麵を食べるようすすめたこともあった。
韓国経済が発展する中で日本に韓流ブームが起きた。
ヨン様に熱をあげた熟年女性たちは韓国のものなら何でもいいという状態になった。
そこで脚光を浴びたのが韓国の安い酒マッコリだった。
マッコリが日本で爆発的に売れたのに驚いた韓国側は「ひょっとすると世界でも行けるんじゃないか」と考えていろいろがんばってるという話です。
ふ~ん、ヨン様は一国の経済政策を動かすほどの力があったんですね。
私とヨン様の出会いは「冬のソナタ」ブーム真っただ中のころです。
行きつけの散髪屋に行ったら奥さんがヨン様の大きなポスターをひろげて見せてくれた。
やっと手に入れて大満足という感じだった。
「私と似てるなあ」と言ったら奥さんは黙ってクルクルまいてひっこんだ。
一瞬の出会いであった。