ハワイ大学から出た世界史の本を読んでます。
1990年代の「アメリカ歴史教科書戦争」について書いてある。
小学校、中学校、高校の歴史教科書の話です。
議会も巻き込んだ激しい戦いだったようです。
歴史教科書について激しい争いがあるのはなんとなくわかります。
アメリカでの例もわかりやすい。
「なんでハリエット・タブマンなんか取り上げるのだ。ジョージ・ワシントンのことをもっと書くべきだ!」
ハリエット・タブマンというのは奴隷制に反対した黒人女性です。
歴史教科書というのは偏向して見える。
で、国や州が「標準的教科書作成の手引き」を作る。
すると、その手引きが偏向して見える。
むずかしいです。
歴史教科書で誰を取り上げるかは大問題である。
一番わかりやすい攻撃目標になる。
だから「標準的教科書作成の手引き」の中には「取り上げるべき人物」について一切書いてないのもある。
著者がいろいろ調べてます。
古代から中世にかけて一番多く取り上げられてる名前は「アリストテレス」「ソクラテス」「プラトン」。
これはわかる。
この3人と同じくらい取り上げられてるのが「シャルルマーニュ大帝」というのはわかりにくい。
思想家、宗教家で一番多いのが「孔子」と言うのは意外です。
著者がほめてる「手引き」には「グル・ナーナク」も取り上げられてる。
信者数第5位のシーク教の始祖だそうです。
知らん。
アメリカの教科書だからヨーロッパ中心になるのはしかたないけど中国人も取り上げられてます。
取り上げられてますがローマ字で誰のことか書かれるとわかりません。
「ZHANGーHE」は魏の武将だそうです。
ふ~ん。
「ZHANGーHENG」は後漢の科学者だそうです。
ふ~ん。
著者の見解では「ZHANGーHE」はマキャベリやモンテスキューと同等に扱うべきだそうです。
少なくともマキャベリやモンテスキューより発音がやさしいというんです。
ふ~ん。
著者が調べた中で一番バランスが取れてたのがマサチューセッツ州の教科書で、ヨーロッパ、南北アメリカ、中国、日本、インド、イスラム、アフリカが同じ分量だそうです。
マサチューセッツ州の教科書には「スンジャタ」とか「マンサ・ムーサ」というマリ帝国の王様も出てくる。
どっちも聞いたことない。
ネットで調べたらマンサ・ムーサ王は13世紀の人で人類史上最高の金持ちだったそうです。
ふ~ん。