小学3年生のあきらくんは弟か妹がほしいそうです。
ゆうちゃんという立派な兄さんはいるんですが弟か妹がほしい。
「かわいいもんだ」と思うのはおとなの浅はかさですよ。
痛切な願いなんです。
先日、「〇〇君に弟ができる」という話を聞いた時、あきらくんは「絶句!」という感じだったそうです。
かたまってしまった。
出し抜かれた!
取り残された!
かなりの精神的打撃を受けたみたい。
相当落ち込んだみたい。
見かねたパパが「よし!朝起きたら枕元に妹を置いといたる!」
「クリスマスプレゼントじゃないんやから!」と口をとんがらせるあきらくん。
私は子供のころ「おにいちゃん」がほしかった。
妹ひとりだったんでお兄ちゃんのいる子がうらやましくてたまらなかった。
とくに近所の同学年のとしおちゃんのお兄ちゃんのよっちゃんが好きだった。
そのころ不思議だったのは、きのうまでいっしょに遊んでた子が中学に入ったとたん消えていくことでした。
ところがよっちゃんは中学に入ってもいっしょに遊んでくれた。
チャンバラや相撲をするときよっちゃんをさそいに行った。
よっちゃんが私たちと遊ぶのをおばちゃんが嫌がってるのに私は気づいてました。
なぜ嫌がるのか不思議であった。
いつの間にかよっちゃんも私たちの世界から消えて行った。
よっちゃんが郵便局に勤めてるという話を聞いた。
私が社会人になって、東成郵便局に行くことがあった。
何をしに行ってたのか忘れたけどよく行きました。
窓口によっちゃんがいた。
おたがい抱き合ってなつかしがることはなかった。
ある時私が「債権放棄の通知書」みたいなのを出しに行った。
それを見てよっちゃんが「たいへんやなあ・・・」と心から同情するように言った。
チャンバラの相手になってやった弟の友達が「債権放棄」の通知書を出しにきたのでしみじみしたんだと思います。