若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

言論の自由

アンソニー・ルイスという人の『言論出版の自由』を読んでます。

アメリカ合衆国憲法修正第1条に「言論出版の自由を制限する法律を制定してはならない」と書いてある。

かんたんでわかりやすい。

しかし、実際に裁判になるとややこしい。

言論出版の自由って何ですか、ということになる。

憲法をどう読むか裁判官でも意見が分かれる。

憲法を読むというのは憲法を作ることだ」という裁判官がいる。

自分で全力を挙げて解釈する。

なるほど。

そんな勝手なことではダメだ、という人もいる。

合衆国憲法を作った建国の父たちはどう考えていたのか、いま生きていればどう判断を下すかを考えなければならない。

なるほど。

アメリカ建国の父というとワシントンとかジェファソンとかフランクリンとか。

彼らがいま生きていればどうするか。

日本の建国の父というと誰でしょうか。

マッカーサーとか吉田茂とか大久保利通、いや神武天皇という人もいると思う。

神武天皇は言論出版の自由についてどう考えていたか。

1950年代にあった裁判が紹介してある。

CBSテレビが当時の人気女優ジュディ・ガーランド主演の番組を企画して契約もすんだ。

ところがいつまでたっても製作が始まらない。

不審に思った芸能レポーターCBSのえらい人に突撃取材。

なんと、ジュディ・ガーランドはダイエットに失敗して薬漬けででぶでぶになってたのだ。

特ダネ発表にジュディ・ガーランドが怒った。

名誉棄損だ!プライバシー侵害だ!

個人情報をもらしたCBSのえらい人の名前を明かすよう求めた。

芸能レポーターは「名前を明かしたら今後仕事ができなくなる。ジャーナリストには取材源を明かさない権利がある」と主張した。

こういう問題を建国の父たちはどう考えるか。

その時の最高裁判所の判断は「どう考えるもくそもない。ワシントンはダイエット失敗なんか知らんがな」というものだった。

建国の父たちが考えたのは「専制」を許してはならないということである。

そのためにジャーナリストは政府の秘密を国民に知らせる使命がある。

そのためなら少々のことは許される。

ジャーナリストは特別の存在であるが、言論出版の自由はでぶでぶガーランドのためにあるのではない。

ということで芸能レポーターは刑務所行きになった。

 

いろいろむずかしいです。

裁判官の中には「政治家、公務員には名誉棄損の裁判を起こすことを許してはならない」という極端な意見の人もいるようです。

それくらい徹底的に監視しなければ何をするかわからない。

たしかに。