ふと思い出すというのが不思議なんですがふと思い出す。
高校時代の2大退屈イベントを思い出した。
学校から能とモダンダンスを見に行ったことがあるんです。
能は国語で習ってたからということで理解できます。
モダンダンスは?
その団体の主宰者が卒業生だったからというんだから困ったもんです。
卒業生支援行事。
「モダンダンス」といったかどうかもおぼえてない。
「前衛ダンス」だったかな。
大きな劇場で見たんですが、「音楽」(?)もモダンというか前衛的でした。
甲高い打楽器が「ポンカラポンカラキンキンキン!」と鳴る中をガニマタの男女が真剣な表情でうごめいてた。
ヘンでおかしくて悪いと思いつつくすくす笑って見てたんですが、後で美術の先生に「真剣な芸術活動を笑うとはけしからん」と怒られた。
その「音楽」(?)を「作曲」(?)したのが化学のU先生だと知ってびっくりぎょうてんでした。
能は死ぬほど退屈だったことだけおぼえてます。
国語で習った『墨田川』を「鑑賞」しに行ったんです。
教科書の『墨田川』は熱心に読みました。
記憶力の黄金時代だったし今でもけっこうおぼえてます。
隅田川の渡し守が登場する台詞。
「これは武蔵のくに隅田川の渡し守にてそうろう。こんにった船を急ぎ人々を渡さばやと存じそうろう。またこんにったこのわたりに大念仏っと申すほどに僧俗を嫌わずにんじゅを集めそうろう。その由皆々心得そうらえ」
だいたいあってると思うんですが。
それなのに「実演」はどうしようもなく退屈だった。
『墨田川』についてはもうひとつ思い出した。
美術部室にいたら1年先輩のKさんが焦った様子で入ってきた。
私の顔を見るや、「おい!若草!国語の教科書持ってないか!?」と聞いた。
「???持ってますけど」
「貸してくれ!国語の教科書忘れたんや!」
超優等生のKさんでもそういうことがあるのかとうれしかった。
たしかこの年、国語の教科書が3年生と2年生同じだったと思んですが。
ちがったかもしれない。
とにかくKさんは私の教科書で国語の時間を乗り切った。
授業がすんで私に教科書を手渡しながらKさんは「くもるとかしおるとか、ようわかったわ」と笑った。
私が教科書に能の所作を図解というか落書きしてたんですね。
悲しい気持ちを表すのに、ちょっとうつむくのとそれプラス手をかざすのがあったように思います。
私がKさんに対して優位に立った唯一の出来事なんでよくおぼえてます。