若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ハロッズ百貨店改革案

イギリスのジャーナリスト、バーナード・レビンの本を読んでます。

2冊目です。

クセの強い人です。

読者からの手紙で「もうちょっと簡潔でわかりやすい文章が書けないのか」というのが多いそうです。

こういう人の英語を読むのは気が楽。

イギリス人でもわかりにくいんだも~ん。

 

買い物についてもうるさいことを言ってます。

1981年の文ですからちょっと古いですが「スーパーマーケット」が気に入らないと言ってます。

老舗百貨店ハロッズさえ「新春特別セール」などと言うバカげたことをして客が殺到という情けないことになってると嘆いてます。

で、自分でハロッズを買収して思い通りの店にしたいという野望を抱いた。

 

まず食品売り場。

もちろん対面販売で、カウンターの向こうには人品卑しからぬ中年の男女店員がピシッとアイロンの当たった白い上っ張りを着て静かに立っている。

あなたが「バター半ポンド」と注文する。

バター半ポンド入りのパッケージを渡すなどと言う無粋なことはしない。

後ろの棚から大きなバターのかたまりを取ってあなたの前に置く。

深みのある金色がかった黄色のバターのかたまりから木のヘラで一すくい取ってはかりにかける。

半ポンドより多かったらサッと取り、少ない時はさっと付け加える。

目にもとまらぬ早業である。

そして半ポンドのバターを木のヘラで四角く整えて店名と花飾りを彫った木の板を押し付ける。

パラフィン紙に包んであなたに渡す。

 

バターを買うとはこういうことなのだ!

バターを売るとはこういうことなのだ!

戦前はどこでもこうだった。

今では見ることができないこの光景を再び見て涙を流さぬものは人間とは言えないであろう。

 

次、楽器売り場。

ヤマハのピアノも最近品質が良くなりました」

よその楽器屋で言え!

品質がどうした!?

アルトゥール・ルビンシュタイン、ウラジミール・ホロビッツ、巨匠たちの愛した音色。

ベヒシュタイン、スタインウエイ、ベーゼンドルファー

「いや、ヤマハも・・・」

よその楽器屋で言え!

ヤマハもこんなところで名前が出てるとは想像もしてないでしょうな)

 

次。

家具売り場。

テーブルもイスもマホガニーだけ。

絨毯はウズベキスタン産だけ。

プラスチックは許さん。

史上最古のプラスチック、ベークライトだけは特別に許す。

 

売り場でゆったりとひと時を過ごす。

これが買い物だ!

 

時代遅れの老人の繰り言と笑うのはたやすい。

しかしこういう店があってもいいのではないか。

 

すぐつぶれると思うけど。