録画してあった映画を見ました。
1959年のフランス映画で、「フランソワ・トリュフォー監督のヌーベルバーグ映画の名作」として名前だけ知ってました。
見終わって日本題名がおかしいと思いました。
「おとなは判ってくれない」だと、なんとなく甘く切ないとかほろ苦いという感じじゃないですか。
そんな話じゃない。
相当控えめに言って「おとなはかまってくれない」というか「おとなは育ててくれない」という感じです。
親の責任放棄、社会の責任放棄、ネグレクト、とにかく無茶苦茶である。
フランス題名は「400回の殴打」で英語題名もそうなってます。
フランス語の意味は「自堕落な生活を送る」だそうですが「400回の殴打」がそのままぴったりのえげつない映画です。
ごく普通の親子の話という感じで始まる。
13歳の男の子と口うるさい母親と物分かりのいい父親。
ところがこの子がたばこは吸うはワインは飲むは、と言うとこまでは「フランスやからなあ」と思ってたんですが、学校をさぼって遊び歩いて翌日先生への言い訳に「母が死んだんです」ときては「ヌーベルバーグ映画」というよりは「吉本新喜劇」か「ドリフの全員集合!」のノリですよ。
ヌーベルバーグか吉本かドリフかと混乱するうちに祖母の金を盗むは父親の会社のタイプライターを盗むはとなって、いったいどうなるのかと思ってたら父親が警察に連れて行って「面倒見切れんからよろしく」となって警察署のオリというか鳥小屋みたいなのに入れられて、児童相談も弁護士もくそもなくそのまま鑑別所に一直線で、面会に来た母親が「おまえにはここがふさわしい。一人で生きていきなさい」って、なんじゃそれは。
鑑別所の精神医との面談でこの子の生い立ちがわかってくる。
母親は結婚前に別の男との間にできた子を堕胎しようとするがこの子のおばあさんに救われて育ててもらう。
母親は別の男と結婚するが、おばあさんが年を取ったのでしかたなく男の子を引き取る。
母親は男の子に「お父さんはお前の恩人だよ」と言うわりに浮気現場を息子に目撃されてる。
男の子が精神科医の質問に答えてとつとつと語るのが唯一しみじみする場面です。
楽しい場面もあるけど実にイヤな映画で嫌いですが名作かな。