ちびちび読んでた『私の修業時代』、やっと読み終わりました。
明治大正にかけて活躍したイギリスの社会学者ベアトリス・ウエブの自伝的な本です。
彼女の父親はやり手の実業家で億万長者で、美人で頭のいい彼女はロンドン社交界の花形だった。
当時のイギリスは産業革命を経て空前の繁栄を誇る一方、首都ロンドンだけでも何百万の労働者が極貧の生活にあえいでいた。
彼女は、「こういう社会はおかしい」と感じた若者の一人だった。
父親の周囲の実業家たちの言動は醜悪であると思えた。
「水が低きに流れるように労働者の賃金は低くなるのが自然だ」
「利益というのは労働者をこき使って手に入れるものだ」
世の中を変えなければと思って労働問題の研究を始めた。
資料は大量に集めて本を書こうとしたがうまくいかない。
どうしたらいいか悩んでたら女友達が「シドニー・ウエブに相談したら?」と言った。
シドニー・ウエブは当時評判の学者、批評家で彼女も名前は知ってた。
「彼、何でも知ってるのよ。ひとつ聞いたら百答えてくれるわよ」
でシドニー・ウエブに会ってみたらその通りだった。
「この本を読め、あの記事を読め、それはこの法律で、もっと知りたければ誰に聞け」
実に親切に指導してくれる。
そして何度も会ううち、「キミの本だけど一人ではムリだよ。ぼくが手伝えば立派な本になるよ」と言った。
はは~ん、ただの親切じゃないなと感づいた。
感づいてから結婚まで一直線です。
結婚で『私の修業時代』は終わります。
「結婚によって『私の修業時代』は終わり、『私たちの共同研究時代』が始まります。私たちは志を同じくする戦友でした。私たちの同志的結合は結婚によって完璧なものになったのです。世の中には様々な形の幸せがありますが私たちの結婚以上の幸せはないでしょう」
お~めでとうございます!(^^)/
これほどめでたく読み終わった本はありません。
お二人の共著はたくさんあります。
『労働組合運動史』『産業民主制論』等々。
べつにヤキモチ焼いてるわけじゃないけど読む気しない。