久しぶりの料理教室。
このところ予約が取れなくて、一ヶ月以上あいてしまった。
カンを取り戻せるか、というようなたいそうなものではないので気が楽である。
今日の生徒は、私と同じ年恰好の男性と、若い女性二人であったが、私の隣の女性はルーマニアの人だった。
スタイルは、「ボリショイバレエ所属」という感じだ。
金髪で、鼻が高く、眼は、何ともいえない複雑な灰色である。
一目見て、「ロシア:東欧系」とわかる。
「ロシア:東欧系」に強くない私にもわかる。
この人が「中井さん」だといわれて、ああそうですかと、すぐに納得できる人は少ないと思う。
「中井さん」はないでしょう。
別に、「中井さん」に不満があるわけではないが、金髪で鼻が高くて複雑な灰色の瞳の若い女性が「中井さん」ではもったいないような気がする。
こういう人は、カタカナが似合う。
しかし、「中井さん」だというのだからしかたがない。
今日は、発酵時間があったので、その間に、中井さんに根掘り葉掘り質問した。
中井さんは、ルーマニアからドイツへ留学していたときに、日本人男性と知り合い結婚した。
日本に来て七年になる。
日本語は上手だ。
読み書きは、「小学生並み」だそうです。
漢字は難しくて、おぼえても、「お恥ずかしーですけど、よく忘れマス」。
料理のことを聞いた。
羊や豚を食べる。
自分たちで裁くそうです。
前にテレビで、ドイツの田舎で、大きな豚を村人たちが解体しているのを見たことがあるが、そういう暮らしのようだ。
「日本人は、カワイソー!といいます。たしかにカワイソーです。でも、私にとっては、子供のころから楽しみでした。クリスマスにみんなが集まって、豚をさばく。楽しみでした」
豚の腸でソーセージを作る。
香辛料の違いで、各家庭の味のソーセージになる。
子供用に、香辛料を控えたソーセージも作る。
「豚の腸は、薄いです。破れたらあかんから・・・」
時々大阪弁が入るのが面白い。
しかし、ルーマニアがECに加入したので、家で羊や豚をさばくことはできなくなったそうだ。
衛生面での問題なのか、商業的な問題なのかはわからないが、いわゆる「国際標準」がルーマニアの田舎にも押し寄せているということのようだ。
完全に禁止されたんですかと聞いたら、「いえ、ちょこっと、やってると思います」と中井さんは笑った。