11月12日は、「洋服記念日」である。
「洋服記念日」と言われても、ぴんときませんね。
「洋服」とは何か、などと改まって考えることも無い。
今我々が着ているのが、日本古来の「和服」でなく、「洋服」であると意識することは無い。
明治5年11月12日、太政官布告。
「礼服には洋服を採用す」
これにより、公家風の和式礼服が姿を消した、のかどうかは知らない。
昭和4年、東京洋服商工協同組合が、この日を「洋服記念日」としたそうだ。
組合では、明治天皇の御遺徳を崇敬し、毎年11月12日には明治神宮へ参拝しているそうだ。
「御遺徳」って・・・。
子供時代、私が普通に「和服」を着るのは、寝るときだった。
寝間着は和服。
いつ頃からパジャマを着だしたのか。
父は、仕事から帰ると、和服に着替えた。
母は、冬は和服であった。
祖母は、だいたい和服であった。
「暮らしの手帳」という雑誌がある。
私が子供の頃、母が読んでいた。
婦人服のページがあって、モデルは、プロではないが、日本に住んでいる外国人女性であった。
読者から、なぜ日本人を使わないのかという質問が多くあったようだ。
編集部の答えは、「洋服は、向うの人のものだから」
つらいですね。
将来、和服が世界に広まることがあるだろうか。
そのとき、海外に住んでいる日本人は、「和服モデル」になれるのか。
山口組三代目の紋付羽織姿と、マーロン・ブランドのゴッドファーザー紋付羽織と、どっちが似合うのか。
美智子皇后のローブデコルテと、エリザベス女王の十二単とどっちが似合うのか。
どっちもどっちだと思うが、エリザベス女王の十二単はありえないのがつらいところだ。
皇后のローブデコルテは正装だ。
女王の十二単は仮装行列だ。
明治天皇の御遺徳を崇敬している場合ではない。