銀行に行ったら『サンデー毎日』が置いてあった。
「選挙」と「郵政」が大きく取り上げられていたが、特集の見出しには首をひねった。
「私が青木さんから受けたウニ、アワビ饗応」
なんじゃ、それは。
「私」というのは、郵政法案に反対した参議院議員だ。
7月末に、この人が参議院のドンと言われる青木さんに呼ばれた。
場所はホテル内の高級すし店。
和室に座ると、出てきたのは、「マグロの刺身」、続いて「ウニやアワビなどの高級食材が・・・」
このすし屋は一人一万五千円はするらしいという話を聞いて記者は驚くが、いや三万はする、とのうわさもあるそうだ。
青木さんはこの話を知らないと言っている。
あのねー、「郵政問題」でしょ。
小泉さんが命をかけた。
「マグロの刺身、ウニ、アワビ」???
一万三千円あるいは三万円???
青木さんが背広のポケットから千万円の札束を出したというなら納得できますが、この話にはどうしても納得できない。
『サンデー毎日』に問えばいいのか、反乱派議員に問えばいいのか青木さんに問えばいいのかわからんが、とにかく問いたい。
ウニ、アワビ饗応てなんやねん。
ある中小企業の社長が昔を懐かしがっていた。
昔と言っても昭和30年代です。
社員旅行で温泉に行って、大きな皿に山盛りの刺身が出てきただけで社員が喜んだもんや。
あのころはよかった。
三十年ほど前、得意先の塗装工場に行ったときのことも思い出した。
工場で社員さんたちが手に何か持って立っていた。
市場で売っているような「てんぷら」だった。
ごぼ天やいか天。
「どうしたんですか」
「おやじ(社長)がこれ渡して、『がんばってくれよ』やて」
私は、しみじみしてしまった。
この社長はいい人である。
小学校を出るとすぐ、吉野の山奥から、大阪道修町の薬品問屋に丁稚として住み込み奉公。
たたき上げの苦労人だ。
人生で一番辛かったのは、丁稚時代と軍隊時代だとよく言っておられた。
その辛い丁稚時代、番頭はんがてんぷらを買って食べさせてくれたのだ。
そのときのうれしさがよみがえって、社員達にも同じ思いをさせてやろうとわざわざ市場にてんぷらを買いに行ったのである。
青木さんにも、ウニ、アワビに目を丸くした昔があったのだろう。
平成17年の「ウニ、アワビ饗応」
ちょっといい話だ。