はなちゃんの「パスポート用写真」とはまったく関係のない本を買った。
芳賀徹著『絵画の領分』
題を見ただけでは、何について書かれたものかわからない。
副題は、「近代日本比較文化史研究」で、やはりなんのことかわからない。
何だかわからない本をなぜ買ったのか。
どこかでほめてあったのだと思うが、忘れました。
第一章は、「歴史の中の高橋由一」。
高橋由一は、誰でも知ってる、というか、高橋由一の油絵「鮭」は誰でも知ってる、というか、誰もが学校で習うが、忘れる人も多いかもしれない。
幕末から明治にかけて活動した、日本の油絵の先駆者である。
はじめて「鮭」を見たのはいつだったか忘れたが、画家の「気合」に感心したのは覚えてる。
この本を読むと、その「気合の元」がわかる。
由一は、佐倉藩武芸師範の家に生まれた。
当主であった祖父から、剣道、弓道を厳しく仕込まれ、絵を得意とした。
生来身体の弱い由一であったが、祖父の期待にこたえるべく武芸に励んだ。
しかし、由一二十代のころ、祖父は由一に、武芸で身を立てるのは無理であるから、絵の道に進むよう命じた。
なるほど、絵の道で御奉公せねばならぬ!という気合ですね。
さて、慶応二年(1866)、由一は上海へ旅行する。
そのときのパスポートが紹介してある。
年齢 39歳
身丈 五尺三寸
眼 常体
鼻 常体
口 大キ方
面 長キ方
それと、ホクロが四つ、どこにあるか記してある。
簡単なもんですね。
はなちゃんの、写真のないパスポートは。
年齢 三ヶ月
身丈 70センチ
眼 ぱっちり、時々白目、寄り眼。
鼻 ぺちゃ
口 おちょぼ口
面 とにかく可愛いです!(*^_^*)
腹 授乳直後ぽんぽこりん、授乳前ぺしゃんこ
手足 ロースハム状
ホクロ、シミ、そばかす、シワ皆無。
以上相違ありません。
パスポートに写真をつけるようになるのはいつごろからでしょうか。