フレデリック・メイトランド著『イギリス法制史』を読み始めました。
なぜこんな本を読む気になったのかと言うと、歴史学者ウエッジウッド女史が絶賛してたからです。
1895年に出版されたこの本はいまだに歴史学上にゆるぎない地位を占めているうえ、文章としても名文で、しかも平易な英語で書いてあると言うんです。
でウイキペディアで調べたら、この本の出版100周年を記念してケンブリッジ大学の法制史の教授がこう語ってます。
「今回出版100周年を祝ったように、100年後にもこの本がイギリス法制史研究の最高の成果だと祝うことになるだろう。メイトランドが喜ぶかどうかは疑問だが」
で、読み始めたんです。
読み始めて、なるほど平易な文章ながら格調高い名文であると感激するような英語力は私にはないと思いました。
いや、主語がどれかとか動詞はどこにあるとか迷うような「難関大学長文読解」みたいな文章じゃないんですが、13世紀イギリスの土地所有は、とか、私権と公権はとかの話なんですらすら読むわけにはいきません。
親しみやすそうなとこはないかと思ったら「遺言」について書いてあった。
イギリスにキリスト教が伝わった初期のころから、教会は死の床にあるものは遺言を残さなければならないと教えてきた。
天国に行くための義務です。
自分が犯した罪を償うだけの寄付をしなければならないというんです。
「貧しいものを救うための寄付と、その他の善行のための寄付」
「その他の善行」というのがわかりにくいですが、私の解釈では「教会に寄付しなさい」ということだと思います。
どれくらい寄付したらいいのか迷うところですが、教会のおすすめは三分割だったようです。
奥さんに三分の一、子供たちに三分の一、寄付に三分の一。
天国に行くための寄付というのは当時の人たちにとって大問題だったと思います。
昔の話ですがウチの親戚の資産家で某宗教の熱烈な信者の方がいました。
その方の子供たちが「おやじが教団に莫大な寄付をしてしまうんじゃないか」と戦々恐々としてるという話でした。
どうなったかは知りません。
天国へ行くための寄付で悩んでる人ってどれくらいいるでしょうか。