若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

浅野内匠頭辞世の句の真実?

風さそう花よりもなお我はまた春の名残をいかにとやせん

元禄14年3月14日、赤穂藩浅野内匠頭は、この句を詠んで切腹したと言われる。
しかし、その場で詠んだとは信じられない。
乱心して刃傷に及び、即刻切腹を命じられた男である。
筆と紙を渡されたら
「吉良のバカ!死ね!」と書いたに違いない。
辞世の句を事前に用意していたとしても、手が震えて書けなかったと思う。

事実はこうだ。

内匠頭切腹の報を聞いて、浅野家江戸屋敷に駆けつけたのは、出入り商人大黒屋善兵衛であった。

「ご家老様、このたびはとんだことで」
「イヤ、もう何がどうなっておるのか」
「お取り込み中ではございますが、殿の辞世の句はいかがなされますか」
「むむ!辞世の句!そこまでは気がつかなんだ!」
「ごもっともでございます。こういうこともあろうかと、手前どもではこのようなものを用意致しておりますが」
「ナニナニ、全日本大名出入り商人組合編集・辞世の句サンプル集」
「手前どもの契約歌人が作りました辞世の句の見本でございます」
「や、これは便利じゃ」
「武士道や忠孝などを歌ったものもございますが」
「そんな殊勝な殿ではないわ」
「では、季節を詠んだ、このあたりが無難かと」
「そうじゃの〜、この、商品番号への38番、風さそう、にしておこうか」
「ありがとう存じます。御代は十両で」
「高いのう」
「めったにあることではございませんので」
「それもそうじゃが」
「短冊も色々ございますが、特製手漉き美濃紙で一両でございます」
「それでよい」
「トッピングは?」
「ト、トッピング?」
「金粉か銀粉を散らしまして一両、金銀ダブルで二両でございますが、めったにあることではございませんので」
「ダブルにしようか」
「ありがとう存じます。イラストはいかがいたしましょう。歌にあわせまして絵師に描かせます。このお歌でしたら、桜でございますな」
「いくらじゃ」
「五両でございますが、めったにあることではございませんので」
「わかっておる。イラスト入りにしよう」
「袱紗でございますが、お歌のイメージからこのピンクのちりめんなど」
「それでよい」
「御代は三両で、御家紋を入れますと五両でございますが、めったにあることではございませんので」
「わかっておると申すに。家紋入りで頼む」
「さて、三宝でございますが」
「まだいるのか?」

つづく