若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

浅野内匠頭辞世の句の真実?

「ご家老様、お言葉ではございますが、瓦版の記者たちを集めての記者会見の折には、『これが殿のご辞世である』と、袱紗に包んで三宝に乗せてご披露なさるのが、ビジュアル的にも映えるのではないかと」
「なるほど!もっともじゃ!」
三宝にも色々ございまして、一番ポピュラーと申しますか、ベイシックなものは、この白木でございます。しかし、こちら様の御家格からいたしますと、この、輪島塗螺鈿金蒔絵あたりがおふさわしいのではないかと」
「う〜む、見事じゃなあ。いくらじゃ」
「百五十両でございます」
「ひゃ、百五十両!高い!」
「ま、めったとあることではございませんので」
「そればっかりではないか!」
「恐れ入ります。御家紋を入れますと、もう五両でございますが、これは手前どものサービスということで、今回は無料とさせていただきます。
それでは、ご注文カードにご記入を」
「うむ、これか。ナニナニ、『ご記入は、なるべく濃い墨で、かすれないようにお願いします』ふむふむ、これでよいか」
「ありがとう存じます。では、復唱させていただきます。
浅野内匠頭様辞世の句一式。お歌は、商品番号『への38番』
風さそう花よりもなお我はまた春の名残をいかにとやせん、十両
短冊、特製手漉き美濃紙、一両。
トッピングが金銀ダブルで二両。
桜イラスト、五両。
袱紗は、ピンクちりめんに御家紋をお入れ致しまして五両。
三宝の方が、輪島塗螺鈿金蒔絵、百五十両
ご家紋入れはサービスで、セット価格合計百七十三両となっております。
オーダーの方、以上でよろしかったでしょうか?」
「お前はマクドか?!」

これが、「辞世の句」の実態である。
江戸時代をなめてはいかんのである。情報化、サービス化は進んでいたのである。

末筆ではあるが、亡き内匠頭殿を偲んで一句

風さそう 花よりもなお 団子かな
          鹿之助