若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

3人のインディアン

ディー・ブラウン著「日よけ帽とピンクのタイツ」

西部開拓時代の女性達を書いた本。
「日よけ帽」は、西部の厳しい太陽のもと、家族のために懸命に働く女性の象徴であり、「ピンクのタイツ」は、酒場などで男たちを慰める商売女の象徴だそうです。

とにかく、開拓時代の西部には女性が少なかった。
ある人の日記に、「甥が馬を借りにきた。隣町に女の人が来ているので見に行きたいそうだ」などと書いてあるそうです。

そして、女性達はよく働いた。なんでも自分で作らざるを得なかったのですね。
着る物食べる物すべて。これはとんでもなく大変な事だと思う。ローラ・インガルス・ワイルダーさんの「小さな家シリーズ」を読むと、これが実に楽しい事のように思えてしまいますが。

化粧品もないので、おしろい等は、メリケン粉とか、ロウ、ブタの油などで作ったらしい。頬紅や口紅などは、どうしようもなくて、頬紅を塗るかわりに、自分でほっぺたをたたいていたらしい。

石鹸を作るのも大変だったようです。
まず木を燃やして灰を作る。大きな鍋に灰と水を入れて煮立たせる。十分煮立ったところで、大量の豚か熊のラードを入れる。それを煮続けると、夕方には煮詰まって、鍋の底に石鹸ができるのだそうです。

ある日、開拓地の家の前で、奥さんが石鹸を作っていた。
昼頃、大分どろっとしてきた鍋をしゃもじでかき混ぜていると、馬に乗った3人のインディアンが通りかかった。

昼時である。

奥さんが鍋を混ぜているのを見て、先頭のインディアンが馬から下りてやって来た。
手まねで、奥さんに、一口食べさせろと言った。奥さんは驚いて、ダメダメと言った。インディアンは、「白人女、ケチ、ヨクナイ!」みたいなことを言って、奥さんからしゃもじを取り上げて、灰とラードのどろどろをすくって飲んだ。
インディアンは、ポロポロっと涙をこぼした。

それを見た2番目のインディアンが、馬から下りて、しゃもじを取り上げると、灰とラードのどろどろを飲んだ。
彼もまた、ポロポロっと涙をこぼした。

それを見た3番目のインディアンが、馬から下りて、しゃもじを取り上げると、灰とラードのどろどろを飲んだ。
彼もまた、ポロポロっと涙をこぼした。

奥さんにしゃもじを返すと、3人のインディアンは、馬に乗って、ポロポロ涙を流しながら帰って行ったということです。