1964年の西部劇映画『遠い喇叭』をテレビで見ました。
「ラッパ」じゃなくて「喇叭」なのがすごいです。
知らない映画でしたが、トロイ・ドナヒュー主演ということで見る気になりました。
トロイ・ドナヒューは私が高校のころテレビでやってた『サーフサイド6』という番組に出てたんです。
マイアミの港のおしゃれな船で暮らしてる、ハンサムでスタイルのいいさわやか金持ち青年を演じてました。
当時の私というより日本から見て、別世界別次元のお話だったと思いますが、どんな話だったかまるでおぼえてません。
番組の中で俳優を紹介するんですが、それが吹き替えじゃなくて英語のままなんです。
かっこいい英語で、「トロイ・ドナヒュー!リー・パタスン!ダイアン・マクベイン!・・・」とやるんです。
トロイ・ドナヒューは、青春スター街道一直線だったと思います。
そのトロイ・ドナヒューが、この映画ではさわやかな好青年じゃなくていやな若造という感じでした。
これは、私が年を取ったということもあるでしょうが、たぶん「いつまでも青春スターじゃいられない。脱皮しなければ」という会社の方針かトロイ・ドナヒューの希望か知りませんが、こういう役もやってみようということだったんじゃないでしょうか。
それと、売り出し中の映画スターをテレビに出すというのも、映画会社の試行錯誤の時代だったんですかね。
この映画は、まあ、無茶苦茶です。
西部劇はこんなもんだと言えば、こんなもんかな。
騎兵隊とアパッチとの闘いと、トロイ・ドナヒューをめぐる恋人ダイアン・マクベインと騎兵隊の中尉の未亡人スザンヌ・プレシェットとの三角関係と、インディアン差別問題が複雑に絡み合ってるようなぜんぜん絡み合ってないような、なんでこうなるの?的不思議さに満ち溢れた映画です。
はじめの方で白人がインディアンに殺されます。
実にむごたらしい殺され方で、遺体がアップになります。
こういう残虐なインディアンは殺さなければならないということです。
あとの方で騎兵隊とインディアンの戦いになるんですが、インディアンは射撃の的みたいな扱いです。殺されまくります。
最後に、良心的な将軍が、大統領に電話で「差別はいけない」みたいなことを言うんですが白々しいです。
映画の見せ場は、騎兵隊とインディアンの戦いです。
地形の変化を利用して激しく戦うと言いたいとこですが、戦ってる間に地形が激しく変化するとしか思えません。
さっきまで平原だったのにいつの間にか岩山のてっぺんという感じなんです。
その位置関係詳細不明の大地を大量の馬が無茶苦茶に走り回る。撃たれたインディアンがころころ落馬する。
おもしろいように落馬するというと不謹慎なようですが、ぶっちゃけた話おもしろいほど落馬します。
西部劇の醍醐味なんだと思います。
非常に危険な撮影だったと思います。
けが人続出だったでしょう。
女優は二人ともいやな女を熱演してます。
男ばかりの騎兵隊の砦に名花二輪、いろどりのはずが、出会った直後から険悪な雰囲気丸だし火花バシバシ、いつつかみ合いのけんかになるかと手に汗握ります。
たぶんトロイ・ドナヒューは、こんないやな二人をきれいさっぱり捨てて旅に出るのだろうと思ってたら、最後の最後に未亡人の方とめでたく結婚して、騎兵隊の隊員たちが「ご夫妻万歳!」と叫んでるところに「エンドマーク」が現われたのであっけにとられました。
アメリカのアマゾンの評を見たら、原作の小説はまともなのに、映画が無茶苦茶にしたと書いてる人もいました。