録画してあった西部劇映画『西部魂』を見ました。
西部劇で題名が『西部魂』というのも素っ気ないというか味気ないというか、投げやりといってもいいつけ方です。
典型的西部劇なんだろうと思いました。
典型的西部劇というのは、カウボーイが出てきてガンマンが出てきて無法者が出てきて酒場の女が出てきてインディアンが出てきて牛がでてくる話。
始まると題名が『WESTERN UNION』と出たのでかっくんとなった。
「魂」じゃない。
アメリカの電信会社の名前なんです。
なぜそれを『西部魂』という日本語題名にしたのかナゾである。
日本電信電話公社が電柱を立てる話を映画にして、アメリカで『ヤマトダマシイ』というタイトルで公開するみたいなもんです。
たしかに国家的大事業だから「魂」を使ってもいいとは思いますが、ちょっとヘン。
映画が始まるとバッファローの群れが登場。
これは珍しいと思いました。
1941年製作の映画なんですが、このころは映画に使えるくらいのバッファローがいたということですかね。
南北戦争が始まった1861年のお話で、「WESTERN UNION株式会社」が当時のアメリカ合衆国の西の果てのオマハから、まだアメリカ合衆国じゃないアメリカ中部地域の西の果てのソルトレークシティまで電柱を立てていこうとがんばってる。
西部劇を見てるとたまに歴史のお勉強ができます。
南軍兵士崩れのならず者が電柱建設のじゃまをするのと戦うのが大筋です。
そこに複雑な立場の主人公登場。
これほどいいとこなしの主人公も珍しいと思います。
カッコいいことは何もせず、飛んで火にいる夏の虫的にならず者に撃ち殺される。
撃ち殺された主人公のカタキを打つのがライバル役の男なんですが、この男、登場した時は「ニューヨークからのこのことオマハにやってきた大金持ちのドラ息子でキザでにやけた嫌な奴」という描かれ方で、適当なところで殺されるんだろう、気の毒に、と思ってたんですが、ちがいました。
「馬に乗って見ろ」と言われて乗るんですが、これがものすごい暴れ馬で、あっけなく振り落とされて笑いものになるんだろうと思ったら、見事乗りこなす。
射撃の腕も一流だし、とても「ニューヨーカー」とは思えません。
この二人が張り合うべっぴんさんはモールス信号を打てるのが取り柄という役です。
ちょっと変わった西部劇でした。
WESTERN UNION社は現在も国際的金融業者として生き延びてるのがえらいと思いました。