若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

正月と言えば

正月と言えば、トランプである。

子供のころ、正月しかトランプで遊べなかった。
母にとって、トランプ遊びなどと言う不真面目なことは、正月にだけ許せるものだったのだ。

母の家は非常に厳格な家だったようで、歌を歌っても父親からしかられたと言っていた。
父の方はというと、大正時代に蓄音機を買って、雛祭りには近所の女の子を集めて父親が踊りを踊って見せたというから、大変な違いだ。

母の方は固い家で、父の方は柔らかい家だ。
両方の血を引いているから、私には固いところもあるし、柔らかいところもある。
炊きそこないのご飯みたいなものだ。

我家のトランプというのがまたすごかった。
裏が、金と黒だったのだ。
金ですよ金!

これは豪華であった。
当時、私がもう一つ正月だけ目にするものに、おばあさんのご先祖が会津の殿様から賜ったと言う、金蒔絵螺鈿の五段の重箱があった。
私には、このトランプは重箱以上に豪華に見えた。

母の話では、母のお兄さんが満州で買ったものだという。

「金!」、しかも「満州!」ということで、正月しかだめと言われても仕方が無いと思えた。

もう一つ。
正月と言えば、あれです。
説明しにくいが、お菓子です。
せんべいの一種かな。
直径二十センチくらいで、プロペラの形になっている。
中心部のくぼみに人差し指を当てて、走ると、プロペラのようにくるくる回る。
私はこれが好きだった。
どういうわけか正月にしか売っていなかった。

正月の寒風をついて、さっそうと走り回ってこのプロペラ型せんべいをくるくる回してから、バリバリ食べるのである。

私が知っている最高のお菓子である。