若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

全日本実業団対抗駅伝を見る

駅伝の楽しさを知ったのは十数年前である。

テレビをつけたら、たまたま女子駅伝をしていた。
なんとなく見ていたら、アナウンサーが絶叫した。
「おーっと!選手が出ていません!」

タスキを渡そうとして走ってくる選手が、悲痛な表情で、中継点をキョロキョロ探している。
自分のチームの選手が見当たらないのだ。

おお!これは面白い!
私は座りなおした。

と、横の方から、上着を脱ぎながら選手が飛び出してきた。
あわててズボンを脱ごうとしてひっくり返って靴まで脱げてしまった。

このとき初めて駅伝の楽しさを知ったのだ。
しかし、こういうことはめったに無い。

「時間切れ繰上げスタート」の楽しみの方が一般的だ。
一位チームが出発して、十分以上遅れたチームは、タスキを待たずスタートするとかいう決まりがあるのだ。
疲労困憊、力走むなしく無人の中継点に倒れるこんで泣き出す選手!

箱根駅伝では最大の見せ場だ。
「ああ!ついに母校のタスキが途切れるのか!」等とアナウンサーがムリヤリ盛り上げようとする。
「がんばれ!母校のタスキをつなげ!」なんて叫んでいるが、内心途切れて欲しいと思っているのではないかと邪推する。

今日も繰り上げスタートはあったが、さすがに社会人となると、泣く者もいないし全く盛り上がらない。
「母校のタスキ」と「我が社のタスキ」ではえらい違いだ。

それでも解説者は、「タスキは途切れても心はつながっています」等と白々しいことを言っていた。

今日の駅伝は、コニカの四連覇か、中国電力の初優勝かというのが興味の中心であった。
後半に入って、中国電力コニカを抜いてトップに立った。
アンカーにつなぐべく、中国電力の木村選手がコニカの磯松選手に差をつけて力走している。

アナウンサーが、解説の増田さんに、中国電力の監督にインタビューするように言った。
増田さんが監督にマイクを向けた。
当然木村選手について聞くと思ったら増田さんは
「磯松選手、七百メートル差をつけられましたが、どうですか」と質問した。
私も驚いたが、監督も驚いたようで、戸惑っていたが
「・・・あ・・ちょっときつそうですね」

困惑する監督に追い討ちをかけるように増田さんが質問した。
「磯松選手は、どんな性格ですか」
「い、いや・・・私は磯松君の監督じゃないんで・・」

どっちが勝ったか知らんが、駅伝は面白い。