朝日新聞夕刊、「私の一枚」。
各界の著名人が、わが心の音楽を語る。
薬師寺長老松久保秀胤さん(78)は、自分の葬式の時、モーツァルトの「バイオリンとビオラのための協奏交響曲」を流してほしいと語っている。
松久保さんは、この曲のLPやCDは何枚も持っているが、バイオリニスト、ジャン・ジャック・カントロフのものが一番好きだそうだ。
ブルックナーも大好きなのだが、「葬式にはちょっとねえ」
「お経は飽くほど聴いたからもうええですわ」
大胆不敵な発言である。
さすが高僧、なにものにもとらわれることのない境地に達しておられる。
それにしても、「飽くほど聴いた」という言葉には実感がこもっていますね。
おつかれさまです。
いいかげんに退職して、趣味に打ち込んだらいいのに。
この発言に、お釈迦様はニコニコしておられると思う。
閻魔大王はニタニタしてるだろう。
閻魔大王と、モーツァルトの協奏交響曲について語り合うのも松久保さんにとっては至福のひと時である。
「最近宗教音楽に関心があり、声明についても考えないと、と思っています」
さ、最近・・・。(-_-;)
イスラム教の高位聖職者ハビル師が語る。
「コーランは聞き飽きた。葬式の時にはモーツァルトを頼む」
暗殺かな。
モスク襲撃!
薬師寺が襲撃されることはないであろう。
松久保長老の身の安全は私が保証する。
ローマ法王ヨハネ・パウロ三十五世が語る。
「賛美歌は聞き飽きた。葬式の時は、モーツァルトのレクイエム・・・うーん、かわりばえせんな〜・・・バッハのマタイ受難曲・・・も耳タコやし、ヘンデルも聞き飽きたな〜、なんかええのないの?」
何事も飽きてはいけませんよ。
「松久保さん、写経でもしたらどうですか」
「写経はし飽きた。領収証だけ書いて暮らしたい」
「えーかげんにしなさい!」
「ほんとにねっ!」