むなしい言葉というか、気の毒な言葉の代表格が、「大感謝祭」である。
「感謝」というのは、美しいいい言葉だ。
字を見ただけで心が温まる。
「祭」も楽しい。
字を見ただけで心が浮き立つ。
「感謝」の「祭」となると、全身全霊をあげてというか大地に身を投げ出してというか、喜びの涙でぐちゃぐちゃになる感じだ。
それになお「大」がつくというのだから、なんちゅうかもう、人間にできうる最高の行為、人間に許された最大の喜びであるといってよいだろう。
そのはずなのに、「大感謝祭!」という文字を新聞やテレビで見てもなんとも思わない。
なんか安売りでもするのかな、というところだ。
とりあえず、言葉の大安売りをしていることは間違いない。
日ごろごひいきのお客様に「大感謝」しておりますと言いたいのだろうが、「祭」がわかりにくい。
「大感謝セール」「大感謝大売出し」が正しいと思う。
会社の近くに立て看板。
「大感謝祭!大阪八光殿
人形供養、野菜即売などの催しあり」
「大阪八光殿」というのは、葬儀会場である。
日ごろごひいきのお客様に大感謝、という理解でよいのであろうか。
大感謝祭期間中はおトクなのだろうか。
客寄せのイベントが「人形供養」というのが、ほほえましいというか苦しいというか、担当者の苦心のほどがしのばれる。
「野菜即売」は、イベントとしては一定の集客力は見込めるはずである。
と思います。
いずれにせよ、「八光殿で大感謝祭!行ってみよう!」という気にさせる看板であることを祈る。