「60k走行」というタイトルの個展に行ってきた。
カックン、とくるタイトルのこの個展に、なぜ行ったのか。
私は、インターネットで悪口をいわれてないか、グーグルと契約して調査してもらってる。先日、グーグル奈良営業所から、悪口書かれてますよと連絡があった。
「ろくたくろぺーぱー」というブログで、書いているのは女子大生であった。今年の「鹿せんべい飛ばし大会」で、私の情けない姿を見て、糾弾せずにはいられなかったんですね。「ろくたくろ」という名前のようだ。
本名が、「六×」さんという珍しい苗字で、「ろく」はわかるとして、「たくろ」はなんだろうか。吉田拓郎のファンか。あるいは、この人は子供のころから欲張りで、サンタクロースに二回来てもらいたいと思っていたので、「ろくたくろ」なのか。
この人は、絵を描いている。絵といえるかどうかわからない。黒い線をひきまくって、線と線の間をきれいな色で塗ってある。猫といわれれば猫にも見える、という画風である。切り絵かステンドグラスのようでもある。可愛がってください!と、訴えているようでもあり、可愛がってなんかいらないよ!と、つっぱっているようでもある。
キティちゃんに鉄条網をまきつけたような感じだ。6月に個展をすると書いてあったので、よっしゃ!個展会場に乗り込んで、とっちめてやろうと決意したのである。
昨日、個展会場に入って驚いた。「絵は人也」というが、キティちゃんのような可愛い女性が、身体に鉄条網を巻きつけて立っていたのだ。かなり変わっているとは思っていたが、そこまでやるとは思わなかった。この個展にかける意気込みが感じられた。
たぶん、客は若い人ばかりだろう。そこへ、奈良を代表するイケメンナイスミドルが入っていったので、彼女は戸惑った表情を浮かべた。
「鹿之助です」
「え?」
「鹿之助です」
「えー?」
「若草鹿之助です」
「え、ええ〜〜っ!」
ビックリした彼女は、鉄条網をまきつけたままひっくり返ったから大変である。「イデデデ!」と叫びながら転げまわる。
鉄条網を巻きつけたまま転げまわってはいけませんよ。
「じっとしてなさい!」
画廊のすみっこでおとなしくなった彼女の鉄条網をペンチで切って救出。
私の悪口をいうだけあって、作品、個展タイトルとも、いけてると思いました。