朝鮮民主主義人民共和国の、金土日じゃなかった金正日総書記の後継者に、三男の金正雲氏が内定した模様である。
内定取り消しもありうるが、若草鹿之助商店朝鮮民主主義人民共和国事業部が入手した情報によれば、朝鮮中央テレビでは、正式発表に向けてのリハーサルが繰り返されている。
おなじみの朝鮮中央テレビの女性看板アナウンサー、名前は知らないが顔は誰でも知っている、こういうのは有名人とは言わないと思うが、なんと言うんでしょう、彼女も、例のこびりついたような作り笑いの練習に励んでいる。
あの、必死に余裕をかましているような笑顔は、ヤマハの発表会でよく見ます。
ヤマハボーカル科を代表する熟女U山さんが、肌もあらわなドレスに身を包みそこないながらも、あの笑顔を浮かべてステージに立つのを見れば、あ、この人はかなりのベテランで余裕たっぷりだなあと、素人は思ってしまう。
その笑顔を浮かべて、歌詞を三番から歌い始め、それに気づいて一番に戻り、二番の途中まで行って、どこを歌ってるのかわからなくなって、しかたなく意味不明の言葉で歌い終わっても、笑顔にごまかされて誰も気づかない。
何の話か。
朝鮮中央テレビだ。
あの女性アナウンサーは、話し方もすごい。
どすをきかせてふざけてる感じだ。
腹筋の鍛え方は半端じゃないと思う。
腹の底から猫なで声を出せるのは、彼女くらいのものだ。
「金正雲氏後継者に決定」のニュースも、彼女の満面の作り笑いと、腹の底からしぼり出す猫なで声で始まる。
「チゲ!ナムルクッタラウマカッタ!キムジョンイルヘロヘロデ、モウアカンデ!」
意味はわからなくても、きわめて重大なことが発表されている雰囲気は伝わるだろう。
金正日総書記は、後継者決定の報告を、いち早く中国の胡錦濤国家主席に電話で伝えた。
「もしもし、錦ちゃん、オレオレ」
「なんや、正ちゃんか」
両首脳は、「正ちゃん」「錦ちゃん」と呼び合う仲である。
「錦ちゃん、ウチの跡継ぎ、正雲に決めてん。よろしゅうたのむわ」
「正雲?誰やねん。正男か正哲か思てたがな」
「あいつらにまかせられるかいな」
「二人ともあんたによー似とるからな〜」
「ほっとけ。とにかく正雲頼むわ」
「顔も知らんし、経歴もわからん。正雲いわれても、正に雲をつかむような話やがな」
「えーかげんにしなさい!」
「ほんとにねっ!」