このところ、昭和30年ごろの日本映画をDVDで見てます。
なんだかなつかしいので、しょうもない内容でも、最後まで見ることができます。
現代映画だと、しょうもないと思ったらすぐやめる私ですが、まあ、時代の子ですから見てしまうんですね。
『薔薇いくたびか』
1955年大映映画。
この映画は、すごいですよ。
135分です。
長い!
このころの映画は、だいたい90分くらいがふつうだと思います。
135分というと、超大作です。
どういう映画なのか。
メロドラマなんです。
すかみたいなメロドラマで135分。
これを最後まで見てしまったというのが不思議です。
ほんとにしょうもないんです。
ばかばかしいんです。
いいとこなしです。
それを、135分見てしまった。
長さもすごいんですが、出演者もすごい。
「大映の東西スター総出演」だそうです。
「東西オールスター」というのが、時代を感じさせますね。
「東西オールスター」って?
大映の、東京と京都のスターということでしょうね。
オールスター、いきまっせ。
若尾文子、京マチコ、山本富士子、三益愛子、長谷川一夫、根上淳、菅原謙二、市川雷蔵、船越英二、勝新太郎その他ごちゃごちゃ。
『君の名は』大ヒットの後を受けて、当時うじゃうじゃあったしょうもない「すれちがい小説」を原作にして作ったしょうもない映画だと思います。
若尾文子と根上淳を、無理やり偶然出会わせて、無理やりすれちがいさせる。
あんまり無理やりなんで、見てて不自然に思わない。
説得力があるというか、ど〜でもええわ、すきなようにしたらええがな、と思わせる。
私にとって、一番印象的だったのは、ビラをまくヘリコプターです。
根上淳が、ビルの屋上にいるんです。
そこに、ヘリコプターが爆音をあげて近づいてくる。
まさか昭和30年に、ヘリコプターからビルの屋上に飛び降りるというような派手なアクションシーンがあるわけない。
あるわけないと思うけど、爆音をあげてビルに近づくヘリコプターを執拗にうつすんです。
一体何が起きるのかと、手に汗握って待ってると、ビラをまくんです。
何度も何度もまく。
え!?
ここ、なぐるとこ!?と思って、茫然と見てると、またヘリコプターが現れてビラをまく。
なんか過激な内容のビラかなと思ったけど、ちがいます。
バラバラとビラをまいてヘリコプターは去っていく。
私たちが子供のころ、ヘリコプターや小型飛行機でビラをまくという宣伝方法がありました。
今では考えられませんね。
飛行機からからチラシをまく。
小学生だった私たちは、ビラを追ってかなり遠くまで走っていたもんです。
広告ビラですよ。
それを手に入れようとどこまでも追っかけて行った。
息も絶え絶えに走って手に入れたビラは、呉服屋の宣伝だったりした。
もちろん、満足でした。
監督は、なぜビラまきヘリコプターにこだわったのであろうか。
まあ、そういう時代だったとしか言いようがないですね。