昭和31年大映映画をDVDで見ました。
このころの映画を見る楽しみのひとつは、子供時代を思い出させてくれることです。
どんな駄作でも、時代は写ってます。
なつかしいです。
それと、今の映画やテレビとちがって、ほんとらしく見えると思うんです。
「作り物」としてすなおに受け取れるという感じですかね。
今の映画やテレビは、自然に演技してるのが不自然という感じ。
ややこしいですが。
この映画は、「文芸作品」の「メロドラマ」です。
家業のろうけつ染めに生きようとする山本富士子が、妻子ある阪大教授上原謙に心ひかれる。
何でこんなおっさんに?と言いっこなし。
上原謙が二枚目役だったからだと思います。
当時の約束事として、女性は誰でも上原謙には心ひかれることになってた。
上原謙は、大学で「ショウジョウバエ」の研究をしてる。
世界で初めて「赤いショウジョウバエ」を作ることに成功する。
それを顕微鏡で見た山本富士子は、美しさに感激して創作意欲をかきたてられる。
そして、なんと、赤いショウジョウバエの柄の着物を作るんです。
赤いショウジョウバエがうじゃうじゃ飛んでる柄の着物です。
映画に出てくるんですが、わざわざ作ったんでしょうな。
さすが巨匠吉村公三郎監督、手抜きしてません。
映画の出来としては、よくできてると思います。
メインテーマである、山本富士子と上原謙の妖しくも激しく燃える恋はしょうもないですが、それ以外はいい。
上原謙さえ出てこなかったらいいのに。
いい俳優がたくさん出てきて、どうでもいいようなことをごちゃごちゃ言い合うのが楽しいです。
萬代峰子、夏目俊二は特に懐かしかった。
二人とも関西の人だから、子供のころテレビでよく見たからでしょうね。
小沢栄太郎が、いやらしいおっさん役で出てます。
仕事上でつきあいのできた山本富士子に、下心丸出しの助兵衛根性むき出しで近づいて、激しく迫って手厳しく振られたあげく、業界の集まりで酒を飲んで彼女に絡んでみんなの制止を振り切って暴れて顰蹙を買う。
こういう「いいとこなし」の役をやらせたら天下一品ですね。
ネットで見たら、小沢さんは、吉良上野介を3回やってるそうです。
たしかに、誰かを苛め抜いて恨みを買って殺されるのにぴったりの顔です。
この男なら殺されても仕方ないと誰もが納得できる顔です。
ほめてるんですよ。