ウエッジウッド女史のエッセイを読んでたら、エリザベス1世が1601年に下院議員たちの前でイギリス史に残る名演説をした話が出てました。
「ゴールデンスピーチ」と呼ばれて、その後イギリスが危機に立った時、国民の団結を訴えるため何度も繰り返し引き合いに出されたそうです。
当時イギリス王室の財政が悪化して、何とか収入を増やそうとしたんですが、議会の反対にあってもめていた。
議会との戦いに女王は勝ち目がないと思った。
ウエッジウッドさんによれば、エリザベス1世は勝ち目のないけんかは絶対にしなかった。
ただし、転んでもただ起きるような女ではなかった。負けだけど、一発逆転、敗北を強引に勝利に持って行こうとこの演説をぶちかました。
女王の前でひざまづく議員たちは、何を言うかと待ち構えてた。
すると女王は、「私は皆さんを愛してます!世界に君主は多しと言えど私みたいに国民を愛してる君主はございませんよ!」と話し始めたんです。
「私は皆さんを愛してます。皆さんも私を愛してます。私は皆さんを尊敬してます。皆さんも私を尊敬してます。こんなハッピーな関係があるでしょうか!」
催眠商法ですね。
女王の前ではひざまづくのが当然ですが、女王は「ちょっと長くなるので立ってちょうだい」と言って議員たちを立たせる大サービスまでした。
そしてエンエンとよいしょを繰り返した。
「神様から女王の座につけていただいたのも光栄でございますが、女王として皆様の愛に支えられてきたことの方がず~っと光栄ですわ!」
「神様から与えられた役目は、皆さんの幸せを守ることです」
「まあ税金ももらってますが、自分で使う気はないんです。ぜ~んぶ皆さんに還元するつもりなんです」
「ぶっちゃけた話、今後私より強い国王も出るでしょうし、賢い国王も出るでしょう。しか~し!私ほど国民を愛する国王は、今後ぜ~ったい出ませんでございますよ!」
たしかに「ゴールデンスピーチ」です。
第二次大戦の苦しい時期に、ロンドンの劇場で当時の名優がこの演説で国民を勇気づけたり、エリザベス2世の即位を記念するオペラにも使われたりしたそうです。
ふざけたりしたら怒られます。
イギリスの方がこれを読んで気を悪くされるようでしたら削除します。