私が小学生のころのデビューだと思いますがテレビの売れっ子でした。
当時の大阪のお笑いの世界では断然フレッシュでモダンと言えた。
まだ鼓を持った捨丸、花代のコンビが活躍してましたから。
テーマソングの歌詞に「女三人寄ったら姦しいとは愉快だね」というのがあって、「姦」と書いて「かしましい」と読むのだと知った。
面白い漢字だなと感心しました。
そのころのことですが新聞に森繁久彌主演の映画の広告があった。
題名か宣伝文句か忘れましたが「姦通の夜太鼓」と書いてあるのを見て私は「かしまし通りの夜太鼓」と読んでしまった。
にぎやかで楽しそうな映画だなと思った。
父は森繁のファンだった。
で、父にねだったら連れて行ってくれると思って勢い込んで言ったら父は意外にも苦い顔をした。
父は明るく楽しい人で苦い顔をする人ではなかった。
お利口だった私はなんだかわからんがまずいことを言ったのだと悟って黙って引き下がった。
いつごろか「姦通」は「かしまし通り」じゃないことを知った。
父の貴重な苦い顔を見せてくれたかしまし娘に感謝しあわせて正司歌江さんの冥福を祈る。