朝、電車の客が読んでいたスポーツ新聞。
全面カラーで、「ボブ・サップ、本門寺で豆まき!」
ボブ・サップが凄まじい顔つきで豆をまいている。
豆なんかまかなくても、この顔を見ただけであらゆる疫病神が逃げ出すであろう。
「鬼は外?!あんたに言われたないワ!」と鬼が苦情を言う顔だ。
今、リチャード・アンダーソン著「お寺の事情」を読んでいる。
この本に、「本門寺の豆まき」が出てくる。
著者は、アメリカ人で、ボーイング社でジャンボジェットの設計に携わっていた。
思うところあって平和部隊に志願し、マレーシアに赴き、その後日本に来て数年暮す。
アメリカに戻って民俗学を学び、日本の新興宗教の研究等をした人だ。
1990年から4年間、池上本門寺で過ごした経験を書いたのがこの本だ。
暴露本のつもりではないので寺の名は伏せる、「某宗教の大本山東京の大門寺」とする、と書いてある。
しかし、「2月15日の『釈迦涅槃会』に続き、2月16日には『開祖生誕祭』がある」と書いてあるのを読めば、「日蓮宗大本山池上本門寺」であることは丸わかりだ。
著者は、「15日が釈迦涅槃会!次の日が開祖生誕祭!ワオ!キリスト教なら、クリスマスとイースターがいっしょに来たような大騒ぎだ!」と興味津々、期待に胸を弾ませて待った。
しかし、何事も起こらなかった。
僧侶さえ一部の者が渋々参加している感じだったので、不思議にも思い、がっかりもしたようだ。
著者が本門寺で最初に経験した大きな行事が豆まきだった。
この盛大な行事が、仏教とどういう関係があるのか不思議に思ったそうだ。
当時、本門寺は、豆まきにはあまり有名な人を呼ばなかった。
呼ばなかったというより、呼べなかったのだ。
ご祝儀をケチったからだそうだ。
例えば人気横綱を呼ぶと、ウン十万円だが、予算は十万しかない。
でも、大本山本門寺の格にふさわしい人気横綱を呼びたい!
どーする?
引退して何年もしてから大鵬を呼んだのだ。
せこいではないか。