若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「スクール・オブ・ロック」を見る

久しぶりの映画だ。

新聞の宣伝に、ジミー・ペイジがコメントを寄せているので見る気になった。
本当にジミー・ペイジがこの映画のためにコメントを寄せたのか疑問であるが、彼の名前にだまされるなら本望だ!と力むほどのことではない。
「往年のロックの名曲が聞けます」と、ずらずら曲名も書いてあるし、それだけでも楽しそうだ。

上映五分前に着いた。
切符売り場の女性が、「席は、前、後ろ、真ん中のどれがよろしいか」と聞くので、真ん中、と答える。
切符を渡しながら、「では、お時間までにお戻りください」と言った。
どういうことだろうかと思って聞き返したら、同じ事を言った。

マニュアルで、切符を渡す時にはそう言うことになっているのだと理解できた。

館内はがらがらであった。
二百席ほどに、二十数人。
全員が、「真ん中」を希望したようで、がらがらの館内の真ん中に密集している。
私は、ど真ん中で、一列十数人の席に、私の右隣に二人左隣に二人というがらがらの超密集である。

私と同じ年代の夫婦が四組。
とてもそうは見えないが、オヤジは全員元ツエッペリンファンと見た。

ハリーポッター」などの予告編がすごい。
凄まじい音と映像で、本編を是非見たいようにも思うが、予告編だけでたくさんだとも思うところがトシなのであろう。

スクール・オブ・ロック」は、非常に不自然かつ強引な物語であるが、主人公役の俳優の怪演とロックンロールに免じて許せる範囲の楽しい仕上がりであった。

「往年のロックの名曲が聞けます」と言うのはウソであった。
「往年のロックの名曲も聞こえます」と言うべきである。

帰り、駅前でバスを待っていた。
終点なので、バスは客を全員降ろして移動する。

ところが、止まったバスが客が降りても動かない。
見ると一番前の座席の男性が本に夢中で座ったままなのだ。
題は見えないが、岩波新書だ。
三十代の男性が一心不乱に読んでいる。

微笑ましい。
運転手もニコニコと黙っている。
しばらく待って、運転手が声をかけた。
しかし、知らん顔だ。

ちょっと微笑ましくなくなってきた。
またしばらくして運転手が声をかけた。
またも知らん顔だ。

完全に微笑ましくない。
しばらくして、切りのいいところまで読んだのか、男は降りた。
まじめな不気味さの感じられる表情であった。